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人生で1番幸せな時間だったなぁ──後で思うような気がする。小さな子どもと過ごす日常

センチメンタルおとうたん
(著:えちがわ のりゆき)
2024.05.08
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センチメンタル:悲哀や憂愁などにひたるさま。涙もろいさま。感傷的。また、そういう感情にひたらせるさま。(『精選版 日本国語大辞典』より)

今まで私は涙もろくない人間だと自負してきました。卒業式で泣いた思い出もなければ、映画やマンガで泣くこともほぼ無し。それが子育てを始めて一変! 我が子の一挙一動にいちいち泣きそうになります。その感情は嬉しさ半分、寂しさ半分といったところでしょうか。まさに「センチメンタル」と言う言葉がしっくりくる感情です。

きっとこの気持ちって世のお父さん、お母さんたちの多くが味わったことありますよね。その気持ちが湧き上がる瞬間を可愛いイラストで切り取り、閉じ込めた一冊『センチメンタルおとうたん』が2024年04月9日に発売されました。

本作は絵本作家・漫画家・イラストレーターとして活躍される、えちがわのりゆきさんが愛娘「にちちゃん」と過ごす日常の何気ない瞬間を4コマのイラストで表現されています。


本書は、『kodomoe web』(白泉社)で4年間連載された『センチメンタルおとうたん』全100話の中から厳選した46話と、描き下ろし14話を加えた特別版となっています。

子育てエッセイ漫画といえば、日々のドタバタや大変なこと、思わず笑ってしまう子どもの行動などをまとめた作品が多い中、本作は冒頭で述べたとおり「親のセンチメンタルな感情」の瞬間だけをまとめた一冊となっています。



収録されている全ての瞬間が微笑ましさに溢れており、きっとにちちゃんを我が子に置き換えて読み進めてしまうことでしょう。


私が思わずセンチメンタルな気分に浸ってしまったお話は「忘れていってしまう」です。



我が家の愛娘は現在1歳5ヵ月。まだまだ行く場所全てが「初めて」であり、その全ては私たちの記憶に鮮明に残り続けますが、彼女にとっては忘れていってしまうものなんですよね。前に突き進んでいく娘を頼もしく思う反面、置いていかれる寂しさに胸がぎゅっと締め付けられます。

そんな泣きそうになる私の心を、えちがわのりゆきさんの暖かい手が包んでくれたシーンがこちら。

キラキラを拾い集めて眺める、と言う表現がまさにその通り! こんな素敵な拾い物をさせてくれるんだから、親と言う立場も捨てたもんじゃないなと嬉しく思えました。

本書はにちちゃんが生まれてからの7年間がギュッと詰まっており、読み進めるとあっという間に大きくなってしまいます。もっと見たいと思いつつも、このスピード感さえもリアルでセンチメンタルな感情が押し寄せてくるようです。

ちいさな子どもたちがそばにいる今を 
きっと 後で振り返った時に
人生で1番幸せな時間だったなぁと思うような気がします

そう分かっているのに 戻りたいと思った時には もう戻れない
今が 幸せで 愛おしくて 今を どうやって抱きしめたらいいのだろう
そんな気持ちを漫画にしました

ちいさな子どもと過ごす日々は忙しく、毎日が大変で気がつけば過ぎ去ってしまいます。その時間が何よりも幸せであることは分かっているから、私たちは必死に写真や動画、日記をつけたりして残そうとしていることでしょう。でも残すよりもこぼれ落ちてしまうものも多いのが現実…。

だから私はえちがわのりゆきさんに感謝でいっぱいです。
溢れるセンチメンタルなこの気持ちを、こんな素敵なカタチに残してくれてありがとうございます!

  • 電子あり
『センチメンタルおとうたん』書影
著:えちがわ のりゆき

白泉社のWebマガジン『kodomoe web』で連載されて人気を集めた『センチメンタルおとうたん』初の書籍化。
2023年に、愛娘にちちゃんの小学校入学を区切りとして惜しまれながら連載を終了した『センチメンタルおとうたん』全100話の中から、著者が選んだエピソード46話に、にちちゃん誕生当時の作品と新作14話を加えてまとめた、超センチメンタルなコミックエッセイ。
子育て中の人も、そうでない人も、じんわり心が温まり、ときに涙腺がゆるんでしまう一冊です。

レビュアー

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Micha

ライター。フリーランスで働く一児の母。特にマンガに関する記事を多く執筆。Instagramでは見やすさにこだわった画像でマンガを紹介。普段マンガを読まない人にも「コレ気になる!」を届けていきます!
X(旧Twitter):@Micha_manga 
Instagram:@manga_sommelier 

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