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(著:夏原 エヰジ )
人を食ったようなタイトル。泣き顔のどアップというインパクト満載の装幀。これだけでももう気になる本書のテーマは、ズバリ「生きづらさ」です。
大学時代からずっと仲良し5人組の女性たちが各章の主人公。切々と語られる彼女たちの「生きづらさ」に寄り添う物語……かと思いきや、嫉妬、羨望、軽蔑といった他人への黒い感情が見え隠れ。私たちが疑問を抱いたころにはひとり、またひとりと姿を消し、物語は衝撃の結末へと向かいます。
「生きづらい」と言いやすくなった現代の闇を、強烈なアイロニーで写し出した問題作です。TikTokを中心に小説紹介をされているけんごさんの紹介動画が契機となり、ブッ刺さる人続出で、発売即重版も決まっています。共感から違和感、そして怒り。地獄行きのジェットコースターへようこそ! 心をえぐられること間違いなしなので、お読みになる際は、安全バーをしっかり下ろしてくださいね。
──小説現代編集チーム 伊藤蓮矢
- 電子あり
女性5人それぞれが自らの「生きづらさ」を語るが、いつの間にか他人への浅はかな羨望、嫉妬といった黒々とした感情が渦巻き......。
レビュアー
小説現代編集チーム
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