今日のおすすめ
どこから読んでも愉しめる上質の哲学エッセイ
哲学はむずかしい。「難しいことを考える」のが哲学なのでしょうから、それも仕方がないことではあります。でも、「難しいことを面白く書く」ことは可能であって、『読む哲学事典』はそのお手本のような一冊ではないかと自負しています。といっても、「中学生にもわかる」といった表層的な平易さとか、おなかを抱えて笑うようなギャグがあるわけではありません(なんとも言えない独特の稚気にあふれてはいますが)。現代哲学の重要な論点に触れるので、なかなか手応えのある内容ではあります。それでも、不思議と「読ませる力」がみなぎった文章で、それこそがこの著者が長く愛されてきた魅力の核心だと思います。
この本は事典と称していますが、エッセイ集でもあります。愛と暴力/期待と希望/保守主義と左翼……概念を対にした各項目は、どこから読んでもいいようになっています。どうぞ気になるところから開いてみてください。
──学芸第三出版部 青山遊
- 電子あり
本質と時間/愛と暴力/ここと私/正義と詩人……。
ある概念と別の概念を対にしてみると、思いもよらない連関が生まれ、ありふれた言葉から豊かな哲学の問題が立ち上がってくる!
現代哲学の重要論点のみならず、文学、芸術、宗教、科学、政治を自由闊達に横断。一人ですべての項目を書き切った事典にして、どこから読んでも愉しめる上質の哲学エッセイ。
レビュアー
学芸第三出版部
関連記事
-
2024.01.09 レビュー
なぜ本を読むのか? 読書装置とは何か? 読書生活の起源を読み解く。
『読書国民の誕生 近代日本の活字メディアと読書文化』著:永嶺 重敏
-
2024.03.06 レビュー
幾千年も忘れ去られた謎の文字──古代文字が解読されるまでの忍耐と興奮の軌跡!
『古代文字の解読』著:高津 春繁/関根 正雄
-
2023.10.28 レビュー
歴代中国皇帝が偏愛した神秘の生きもの「龍」は、いつどのように誕生したのか。
『龍の世界』著:池上 正治
-
2023.09.25 レビュー
古来、英雄たちはみな曹操が作った「孫子」を読んできた! 1800年のスタンダードを全訳注。
『魏武注孫子』曹 操 訳:渡邉 義浩
-
2023.11.09 レビュー
あの正倉院に「龍の歯」があるって本当ですか!? 2024年辰年に読みたい1冊
『龍の世界』著:池上 正治
人気記事
-
2024.04.02 レビュー
ホスト、立ちんぼ、トー横……慶応女子大生が歌舞伎町で暮らし取材してきた生の声
『ホスト!立ちんぼ!トー横! オーバードーズな人たち ~慶應女子大生が歌舞伎町で暮らした700日間~』著:佐々木 チワワ
-
2024.04.01 レビュー
人間力がすごすぎる、栗山英樹さんの熱い人生哲学
『信じ切る力 生き方で運をコントロールする50の心がけ』著:栗山 英樹
-
2024.03.28 レビュー
理系に強い子どもに育てるヒント満載! 数学センスを磨く新しい勉強法
『中学数学で磨く数学センス 数と図形に強くなる新しい勉強法』著:花木 良
-
2024.03.26 レビュー
どこにでもいる!? 人間関係の悩みを生み出す人の生態
『職場を腐らせる人たち』著:片田 珠美
-
2024.03.27 レビュー
SNSでことばの事故を起こさない方法とは!? 日本語ラップは言語芸術!?『日本語の秘密』
『日本語の秘密』著:川原 繁人