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芥川賞受賞から6年。松浦理英子氏も絶賛する「静謐で美しい世界」

幻日/木山の話
(著:沼田 真佑)
2024.02.02
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第157回芥川龍之介賞を受賞した『影裏』が綾野剛さん主演で映画化もされ、華々しいデビューを飾った沼田真佑さんの受賞後第一作。「群像」に掲載された短編「早春」を起点に、コロナ禍を挟み4年の歳月をかけ書き継がれた連作小説がようやく刊行されました。

自然への、生命への、生きづらさを抱えた者への眼差し。人と動植物、水と土と空気、社会が影響し合って成り立つこの世界を眺め、自然のまま、言葉の流れるまま、音楽に身を任せるように過ぎ行く時間をそのままに描き出す。「執筆の支えになるのは、一に音楽、もうひとつは煙草だった」という沼田さんは大の音楽好き。心地よいリズムと美しい情景描写、季節の情感があふれる文章の流麗さは当代随一です。

「群像」掲載の作家・松浦理英子さんによる書評では「このすぐれて知的で倫理的な小説は、孤独である勇気を持つ者にしか書けないものだろう」と絶賛されました。抑鬱を抱えながら東北地方を淡々として移ろいゆく主人公・木山の佇まいは沼田さんご自身にも重なります。しみじみとした味わいが癖になる、魅力に溢れた作品です。

──文芸第一単行本編集チーム 名原博之

  • 電子あり
『幻日/木山の話』書影
著:沼田 真佑

コロナ禍を含め、4年の歳月をかけ書き継がれた、オーガニックな魅力の連作小説「木山」の話。自然のまま、言葉の流れるまま、音楽に身を任せるように、耽溺し没入する小説体験。自然への、生命への、名もなき人への「眼差し」。人と動植物、水と土と空気、社会が影響し合って成り立つこの世界を生き、過ぎ行く時間をそのままに描き出す。
「早春」「入船」「遡」「ブラスト」「日なた」「朝霧の」「カタリナ」「ながれも」計8本収録。

レビュアー

担当編集者

文芸第一単行本編集チーム

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