本作では、そんな霊の存在が科学的に証明され、世間に秘匿されてはいるものの技術革新によって「実体化」にも成功した社会における、霊にまつわる様々な問題を描いています。
物語の拠点となるのは、東京都花子さん特別支援課、通称「花子課」。トイレの花子さんからのインスピレーションで、霊についてよりソフトな印象を与えるためのネーミング。ちなみに旧名称は東京都地縛霊除霊鎮魂課という、なんとも物々しい名前です。
花子課の具体的な仕事とは?
霊に対しての対応がある程度システム化されており、オカルト・ファンタジー要素と役所仕事という、一見相反するものが交差する点も、本作の面白さのひとつです。
お役所仕事も命がけ! 怨霊化のリスクも……!
ちなみにこのケースでは、霊が「憎い」「殺す」というワードを放ったことから怨霊化の恐れあり、と判断し駆除を実施。これもマニュアルに則った対応となります。
「死んだ人を幸せにしたい」と願う光永寺の葛藤
でも現実はそう簡単にはいきません。保護・捕獲した霊がその後どうなるのか。七原は光永寺を、花子さん(霊)を慰霊する霊園施設へと連れていきます。実はこの施設には一般人が入れない裏口ルートがあり、その奥で行われていたのは……。
事故物件や曰く付きの場所など、霊のウワサによって資産価値が下がったり、誰かに取り憑いたりと、今を生きる人間にとって霊は邪魔な存在。税金その他の問題からも、保護した花子さんをいつまでも管理するわけにいきません。そのことを突き付けられてなお、光永寺はこんな疑問を抱かずにはいられませんでした。
花子さんを幸せにしたい個人・光永寺と、マニュアルに沿って実体化し保護あるいは処分しなければならない役人・光永寺の葛藤。そして優秀な花子課職員ながら何やら謎めいてる七原に、機械的な霊の駆除にひと言ありそうな渋い上司・青山など、引き込まれる魅力的なキャラクターたちが花子さんと織り成す、“人間&霊ドラマ”。霊を得体の知れないオバケではなく、実体化させることで人間(であった存在)に近づけ、除霊ストーリーに「幽霊退治」とは違う視点を持ち込んだ本作に注目です。








