野間児童文芸賞を受賞し、劇場アニメ化もされた児童書『岬のマヨイガ』のアンサーとも呼べる作品が刊行されます。東日本大震災をテーマにしているのは『マヨイガ』と同じ。違うのは、主人公が震災遺児だということ。
9年前、東日本大震災で家族のほとんどを失った少年は、唯一の家族である父の死をきっかけに故郷に帰ります。そこで出会ったのは、記憶を失くした不思議な少女。「海から帰る者がいる」という伝説が残る町で、主人公は少女をめぐる騒動に巻き込まれていきます。つらい目にあっても、生きている意味はあるのか──岩手県出身・在住の著者、柏葉幸子さんは「今だから書けた物語」と語ります。
2022年に『帰命寺横丁の夏』で優れた翻訳児童書に贈られる米バチェルダー賞に輝き、他作品も続々と翻訳のお声がけをいただいている柏葉さん。海外からも注目の集まる柏葉ファンタジーの最新作に、ぜひご注目下さい。
──児童図書編集チーム 田久保遥
レビュアー
児童図書編集チーム