銀座・歌舞伎座にほど近い築地川銀座公園に、名犬チロリの記念碑があるのをご存じでしょうか? チロリは捨て犬で殺処分寸前だったところを著者の大木トオルさんによって救い出され、その後、日本初のセラピードッグ(治療犬)となって、多くの高齢者や障がい者に寄りそい、励まし続けました。
「チロリの父」大木さんは、日米で50年以上にわたり音楽活動を続ける伝説のブルースシンガーでありながら、ライフワークとして殺処分寸前の捨て犬を救助し、セラピードッグを育成する活動を続けています。本書にはチロリのほか、東日本大震災で家族と離れ離れになった犬や福島で被爆した被災犬など、さまざまな犬たちが登場します。
「どんな犬でも、環境を変えて教育を受ければ立派なセラピードッグになれる」。殺処分ゼロをめざし、愛用のギターを売ってまで活動資金にあてる大木さんの言葉に、取材中、何度も涙がこぼれました。
──青い鳥文庫編集チーム 山室秀之
レビュアー
青い鳥文庫編集チーム