新学習指導要領が2020年から導入され、小学生のプログラミング教育が必修化されたようです。
コロナ禍によるリモート教育の後押しもあり、こどもたちにとってデジタル端末が身近になりました。我が家の小学校低学年もタブレット端末が支給され、先生も生徒も手探りで取り組んでいる光景を、現在進行形で目にしています。
プログラミングは小学校高学年からの必修カリキュラムではありますが、できれば早いうちに触れさせて、親しんで取り組んでほしいと思うのが親心。
とは言うものの、いざ保護者の立場からすると、今まで学んだことがないプログラミングをどうやってみてあげればいいのか全くわからないという悩みをよく耳にします。
どうやってプログラミングを学ぶ環境を用意すればいいのか、なかなか困難ですよね。
そんな悩みをお持ちのご家庭でも、プログラミングの「考え方」を身につけられる教材がこちらの『はじめてのプログラミングあそび ボスはきみだ! GO!GO!ミニオン』でした。
「プログラミング」の概念を遊びながら身につけられるのに、パソコンも要らず、キーボードの入力も必要ないスグレモノです。
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この教材は映画『ミニオンズ』で大活躍するボブと、ボブを動かすフィールドになるシート、そしてプログラミングのシミュレーションやお題作りに使用するカードセットの3点というシンプルな構成です。別途単4電池が2本必要ですが、このセットだけでプログラミング学習が始められます。
プログラミングは、行動の命令をあらかじめ「プログラム」して命令を行う一連の続きです。それはどんな行動をするかをあらかじめ想像して、全体の行程を俯瞰して計算して取り組む考え方が欠かせません。
限られた命令を駆使して、目標を達成するための手続きを頭の中で作り上げること、これがプログラミングを身につけるには必要な考え方です。
この教材でその「命令」を受けてくれるのが「ボブ」です。ですが、彼にできる命令は、前に進む、後にすすむ、右を向く、左を向くの4つのみ。
これらの命令は、ボブの背中にある矢印ボタンを押して、スタートボタンを押すだけです。
進んで欲しい道順を決めたら、その通りに矢印ボタンを押してボブに手順を伝え、スタートボタンを押す。
するとその通りにボブが動きます。前へ、後ろへ、映画と同じようにワイワイしゃべりながら回ったり止まったり。見ているだけで可愛いんです。
矢印ボタンを押した通りに動くので、当たり前ですが全く融通がききません。押しすぎたら通り過ぎますし、曲がる向きを間違えたら当然変な方向に進みます。
手順の修正は全消去か一手戻るだけなので、じっくり進めるタイプの子も、ゼロからやり直すタイプの子でも好きな方を選べます。非常にシンプル。
これらのボタンを押すことでボブに動いて欲しい順序をプログラミングし、実際にボブが動くさまを即座に確認できるわけです。
それを見て、この教材の最大のメリットは、失敗や成功を直に感じられ、試行錯誤が何度も気軽に行えるところにあるのではないかと感じました。失敗をすぐに取り返せるからこそ、小さい子供でも諦めずに何度も挑戦することができます。
右に曲がらなければならないところを曲がらなかった。行きたいマスに辿り着けなかった。だからそこを直してみる。
そして成功して嬉しい。
成果が見えるというのは、続けていくには大切なことです。
我が家の小学校低学年に遊んでもらってみると、最初は失敗を繰り返していましたが、次第に失敗の回数が減っていき、最後には自慢げに「ボブ」を操るようになりました。
その姿は、成功した時に感じる喜びが、次のお題に向かわせるモチベーションにつながっているようにも見えました。
始めた当初は、その場しのぎで修正していけば対応できるけれど、お題が高度になるにつれ、行程が増えるからだんだんと太刀打ちできなくなってきます。脳内で手続きを組み立てるにはだんだん手数が増えて難しくなってくるのです。
その時は、自分がプログラミングした行程を付属のカードで記録して、不具合ポイントを特定する検証を行い、そして正しい動きを導き出していく。このように取り組み方も変化します。
こういった試行錯誤の繰り返しは、実際にパソコンでプログラミングする際にも必要なプロセスなので、仮説を立てて、実行して、修正するというサイクルを自然に体験し、身につけられるようになってきます。
ちなみに本教材にはお題ブックのようなものは入っていません。なぜなら、お題はカードゲームのように山札から引いて自動で作り出すというアナログな手法だからです。そのおかげで、ひとつとして同じお題が生まれないという考え抜かれた仕組みが用意されていて、触れれば触れるほどこの教材の凄さを感じました。
子供が頭を使っているさまを見るのも可愛いし、実際に動くボブも可愛い。プログラミングに触れさせてみたいけれど、自分のパソコンを使わせるのもなんだかなとお悩みの親御さん、すごくおすすめですよ。
レビュアー
静岡育ち、東京在住のプランナー1980年生まれ。電子書籍関連サービスのプロデュースや、オンラインメディアのプランニングとマネタイズで生計を立てる。マンガ好きが昂じ壁一面の本棚を作るものの、日々増え続けるコミックスによる収納限界の訪れは間近に迫っている。