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2021.06.25

レビュー

ただ歩くだけ! 肩こり、腰痛、ひざ痛……きれいに歩けば改善します!

ある日、自分の歩き方がふと目に入り、驚いたことがある。それはショッピングモールでの出来事だった。買い物をするためふらふらと歩いていたところ、進行方向の大きなガラスに映りこむ、女性の姿が見えてきた。猫背で、歩き方もなんだかドタドタとしている。失礼ながら、内心で「もっときれいに歩けないのかな」と思った。だがその姿が徐々に大きくなり、自分のそれだと気づいた時の衝撃たるや……! 今思い出しても、恥ずかしくてしかたない。

それ以来ずっと、姿勢と歩き方が気になっていた。だが、独学には限界があるのも事実。最近では近所を散歩することが日課となったこともあり、きちんとした歩き方を学んでみたいとも感じていた。そんなところに現れたのが、本書。帯の後ろに書かれた「ただ歩くだけで誰でも美しくなれる みんな健康になれる」という言葉にも惹かれた。あの日の自分の姿が脳裏に浮かび、心を決める。歩き方を、学んでみたい!

1968年生まれの著者は、大学時代、陸上の短距離選手だったそうだ。その時に、こんな気づきを得たという。

「走り」の研究のため五輪や世界陸上の選手をチェックしていましたが、そのとき日本人と海外アスリートのランニングフォームが違うことに気づきました。世界の選手は重心を高く保ち、身体をツイスト(回旋)させながら効率よく使い、力強い推進力を生み出す走りをしていました。そして「歩き」という運動についても、同じような差異を見つけたのです。

てっきり体格の差だけかと思いきや、歩き方そのものにも違いがあったとは。自分の歩き方はもちろん、日常の中で他人の歩き方を分析して眺める機会はめったにない。「違いに気づくことが最初の一歩」ということには、自然と合点がいった。そうして著者は、「とにかくシンプルで覚えやすい、正しい歩き方の『3原則』」を提唱する。

正しい歩き方3原則
原則1 まっすぐに立って歩く
原則2 重心を左右に移動させて歩く
原則3 体の回旋を使って歩く

この原則を踏まえた上で、著者はドイツのランチョ・ロス・アミーゴ病院の医師による歩行周期を基準として、歩き方の改善策を模索していく。その結果、「欧米人は体を立体的(=3D)に使うのに対し、日本人は回旋を使わず平面的(=2D)に歩いている」ことに気づき、本書の主題でもある「3Dウォーク」のメリットと実践の方法を説いていく。

全4章構成の本書だが、3Dウォークエクササイズの詳細は第3章に基本編が、第4章に実践編が収録されている。また基本編に入る前には、ウォーミングアップの動作も載っている。いずれも簡単に見える動作だが、実際にやってみると、終わるころには全身が汗ばんできた。見えないところでも、身体がしっかり動いていることを実感する。

ちなみに運動時は、ある程度の広さを確保した方がやりやすいものの、狭い空間でもそれなりに動くことができた。ただ、いずれにしても自分の姿勢や時間の経過を把握するために、全身が映せる姿見と秒数が計測できる時計があると、より便利かもしれない。また基本の歩き方については、本書の帯にあるQRコードから、動画で著者のお手本の動作を見ることもできる。個人的には、STEP2の「ジグサグウォーク」が、写真から想像していたよりもかなり大きい歩幅で踏み出すことが確認できて、役に立った。



本書の冒頭には、「『歩き』を変えて人生が変わった!」という7人の方の体験談も収録されている。へこたれた時には、このページを再確認することで、やる気を取り戻すこともできるだろう。少しずつでも、長く続けることで違いが体感できてくるようだ。焦らずのんびり、自分の体と向き合ってみたい。

レビュアー

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田中香織

元書店員。在職中より、マンガ大賞の設立・運営を行ってきた。現在は女性漫画家(クリエイター)のマネジメント会社である、(株)スピカワークスの広報として働いている。

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