突然ですが、まずは写真を見てみてください。
こんな愛らしい立体的な丸いバスケットや……
テーブルに出しっぱなしでも可愛い、四角いカトラリーケース……
これらは何でできていると思いますか?
竹? 紙?
実はかぎ針で編んだ糸なんです!
この固まる糸「HEAT+(ヒートプラス)」は、80℃以上の熱で固まる性質のあるポリエステルでできています。
本書ではアイロンを使う方法で作れる小物を紹介しています。
コースタ―、テーブルセンター、ドイリー、カップ形オブジェ、カトラリーケース、ピアス、ブレスレット、王冠、ペンケース、バッグ、帽子、バスケットなどなど、全部で35種類もの小物の作り方が!
糸の色は大人かわいい16色。
固め方の説明はこちらです。
アイロンのスチームをあてることで、編み上がりはふにゃふにゃだったものが、シャキッと立ちます。
アイロンのかけ方、基本的な編み方はQRコードがついているのでそこから詳しく見ることができます。
この動画がすごく便利! HEAT+が初めての方でも安心。
……とは言っても、糸がかなり細くて経験者でも難易度高めなので、かぎ針編みがまったくの初めての人には個人的にはあまりおすすめできないかも……。
かぎ針編み経験者の私でも糸の細さに苦戦して、目をしょぼしょぼさせながら頑張りました(笑)。
では読むよりやってみよう! 実践で学ぼう! ということで、やってみようコーナーです。
今回私が挑戦するのがこちらです。カップ形オブジェ。
「本当に糸がこんな立体になるの? いやいやいやいや……」と半信半疑のままスタート。
入手した糸は「02 カメリア」と「12 フォグピンク」です。
どちらもちょっとくすんだ味のある色。
この「大人かわいい」色がとても魅力的です!
(夜の照明の下で撮影したのでベージュに見えますが、フォグピンクの実物はもっとピンクっぽいです)
針は3号です。
さてこの糸を使いやすいように玉にしておきます。
柔らかく優しく玉にします。こうしておくと中央から絡まずにスルスルと糸が出てきます。
まずはお皿から編みます。わの作り目を作り、そこから編み図を参考に編んでいきます。
ね、かなり細いでしょう。
ここから写真が明るくなります。夜数時間編んで、翌朝です。まだまだ半分くらい。
所要時間約6時間で「お皿」ができました!
時間はかかりますが、編み物を編んでいるときの無心になれる感じがとても好きです。この世の嫌なことを全部忘れていられるというか。
さあ、次は「カップ本体」を編み始めます。
ついに3日目に突入です。昼夜編み続けました(笑)。
所要時間こちらも6時間で「カップ本体」が編み終わりました。「持ち手」(一番右)も忘れずに。
これが全体像です!!
こんな編み上がりはふにゃふにゃと柔らかいものが本当に固まるのか!
まだ疑っています。
緊張しながらいよいよ固める準備です。道具と用具を用意しましょう。
まず「スチームアイロン」。スチームが肝です。
蒸気孔の多い方が早く固まるのでおススメ。(私のは孔が少なかった……)
そして「アイロン台」、もしくは布を畳んで代用しても大丈夫です。
ここで大事なのは、「表面が布でできていて、ピンやまち針が刺せる」ということです。
私は最初にそこに気づくことができず、アルミ素材の刺せないアイロンシートを使ってしまいました。
途中で動画を見たら「作品をピンでアイロン台(もしくは布)に刺して固定する」というのが出てきて、刺せないわたくし、絶叫しました……。
そして「型にするもの」です。カップの型には、直径8cmの糸玉を使うらしいのですが、余分な毛糸がないので、代用として耐熱性のボウルなど。
耐熱性のボウルなど持っていない、そもそもボウルが大きいの1つしかない我が家。苦肉の策で茶碗、小どんぶりを使うことに。いいんですかね。できたからいいとするか。
右の針金は、持ち手の形固定のために使いました。ここでも本来はアイロン台に刺さなきゃいけなかったのに……。
物を作るって何より準備が大事ですね!!
ではいざ固めます!
固め方のコツは3点あります。
1.ちょんちょん♪「ドライ」
ドライでは直接、編み地に軽くあてて形を落ち着かせます。アイロンに直に接した部分は糸が溶ける場合もあるので、裏にあてるのが無難。
2.固め作業は、裏で8割、表は2割
編み方にもよりますが、固めるとサイズが一回り小さくなります。そのサイズは裏面・内側のスチーム段階で決めましょう。表面・外側は編み目を生かすために「仕上げ」程度に軽く。
3.「スチーム」はアイロンを浮かせて
スチームはアイロンが直に触れないように編み地から少し浮かせた状態であてます。全体に均等にかかるように動かします。大きなものは中心から外への動きで。
……サイズが小さくなるなんて緊張しますね。
ではお皿から固めていきます。
裏面が見えるように置き、形を整えます。そしてドライの中温で端にちょんちょんと軽くあてて、綺麗な形に整えます。
左側がまだあてていない部分、右側がドライをあてた部分です。
固まって平らになっているのがわかりますか?
全周終えたら、ここで形が歪まないようにアイロン台にピンで刺します。(本来は!)
そして編み地に触れないように浮かせてスチームをあてます。
かなりびっくりするくらい、あっという間に縮みました!
そんなに縮むならもうちょっと慎重にやればよかった。ぜひ初めてのみなさまはおそるおそるやってください。ぎゅーんと一気に縮みます。
裏で好みのサイズ、好みの固さにしたら、表にひっくり返してふんわり仕上げのスチームです。
じゃーん! こんなにパリパリ、シャキッと立つくらいまで固くなりました。
糸の柔らかい見た目なのに固い。なんとも不思議な感覚です。
続いてカップ本体を固めていきます。これは曲線の立体なので難しいです。
裏面(内側)の端にドライをあてて形を整えるのは一緒。
ここから茶碗の登場です。途中で「これ小さい!」と気づき、もっと大きいものに変更しています。
まず内側が見えるように茶碗にかぶせて、ドライで軽くあて、形を整えます。
形がある程度整ったら、中央から端に向かってアイロンを動かしながらスチームをあてます。手で形を整えたり、固さの具合を見ながら、8割くらいの固さまで仕上げます。
そうしたらそれをくるんとひっくり返し、本来の裏表(内側外側)の形にして、外側に軽くスチームをあてます。糸の風合いが消えないように気をつけて。
最後に型からはずして、固さが甘いときには内側からスチームをあてます。
持ち手は本来、アイロン台にピンで固定して固めるのですが、針金を通して形にしてみました。ドライで整え、スチームで固めます。ここはふにゃっとしたらいやな部分なので、かなり固めにしました。
持ち手の糸をカップ本体に取りつけたら完成です!!
3日間の達成感が半端ないです。
そして糸が立体として立っていることへの感動。
糸の柔らかい独特の質感・素材感はそのままに、重力に勝って上へと伸びている不思議。なんと魅力的な作品でしょう!
ヘアアクセサリーなどを入れてみました。すごく可愛い!
温かみのあるナチュラル系インテリアに合いそうですね。
「最近、編むものがマンネリで……」
「いろんな作品に挑戦し続けたい!」
そんな編み物ファンのみなさま、ぜひ固まる糸「HEAT+」で糸の新たな可能性、境地を体感してみてください!
2次元が3次元になることで作品の幅が格段にアップすること間違いなしです。
【参考情報】
『固まる糸! HEAT+(ヒートプラス)で編む雑貨』(講談社刊)PR用プロセス動画(後正産業株式会社制作の本動画を、編集部がPR用にダイジェストしたもの)
レビュアー
一級建築士でありながらイラストレーター・占い師・芸能・各種バイトなど、職歴がおかしい1978年千葉県生まれ。趣味は音楽・絵画・書道・舞台などの芸術全般。某高IQ団体会員。今一番面白いことは子育て。