■おりがみを折る心は、丁寧な心
3歳になった娘が見よう見まねで上手におりがみを折るようになった。
おりがみを持ってきて「うさぎさん折りたい」「ねこさん折りたい」とせがむので、スマホで折り方を検索して一緒に折る。背筋を伸ばして座り、まだ指の動きはぎこちないながらも、「はしっことはしっこをあわせて、ぴ!」と作業する様子はなかなか頼もしい。
おりがみというのは、「丁寧な遊び」だなと思う。
「折り目正しい」という言葉を思い出す。これはおりがみではなく着物の折り目からきている言葉で、折り目とは着物を畳んだときの筋目のこと。
美しく畳むことは、気持ちを集中させ、心を込めることが必要。人間性がそこに現れる。
折り目正しいの意味は、礼儀作法をわきまえていることを指すが、単に礼儀正しいというだけではない気がする。丁寧に真心を持って生きている、きびきびとけじめを持って生きている、人や物を敬う気持ちを持っている……そんな生き様まで見えるような深い言葉だ。
おりがみを折るというのが、どうもこの辺の心根に繋がっているような気がしてならない。
綺麗な色紙や和紙を大切に扱い愛(め)でる。
それを丁寧に角と角を合わせて折っていく。少しでも気を抜いて雑に折ると、完成品はぐちゃっとなったりする。鶴のくちばしなんてわかりやすい。細かいくちばしが最後スッと尖るようにするには、途中経過で手を抜いてはいけない。そして完成した作品には、魂が宿っているような気分になる。おりがみ作品をぽいっとゴミ箱に捨てる気にならない。千羽鶴なんてわかりやすい例だ。あれは魂の塊。生き物のような存在感だ。
前置きが長くなったが何が言いたいのかというと、おりがみを折る時の精神のようなものを大切にしたいなあと。丁寧な心。丁寧な生き方。四六時中だと疲れるけれど。
たまにはおりがみを折って、そんな気持ちを思い出したい。
■本書のオススメポイント3つ
というわけで取り出しますのが本書「季節のおりがみ花飾り」。
本を開いてまず、素敵な点その1。オールカラーの写真が美しい!
作品例のページは見ているだけで癒(い)やされる。我が家の3歳も「かわいいね!」と指をさしながら楽しんで見ている。
素敵な点その2。オールプロセスカット。
全ての手順が、イラストではなく、写真と作業指示線を用いて説明されている。子どもにもわかりやすい。
素敵な点その3。花だけではなく、リースやキャラクター(人や動物)の作りかたも豊富に載っている。
確かに花単品を作っただけでは、「これをどう飾ればいい……?」とわからなくて結局中途半端に終わりそうだが、いろんな種類のリースの折り方が用意されていおり、そこにペタペタ貼っていくだけで一気に見栄えの良い作品に変身する。リースマジック!
そして子どもは人の顔や動物が大好き。これがあるとないとで、子ども受けが全く違う。
■折ってみよう!
では早速本を見ながら折ってみよう。
おりがみは文房具店のほかに100円ショップでもいろんな種類が売られている。素敵な柄入りも豊富。ありがたい。
この柄入りが後で効いてくる。色々な紙で試したい。
あとはハサミ、のり(スティックのり、重たいものを貼るときはボンド)、テープ類(メンディングテープやマスキングテープ)が必要。
取り急ぎハサミとスティックのりだけでも十分楽しめる。
まずはカーネーションを作る。
ハサミの動きが意外と細かい!
次はひまわり。
花びらを黄色単色だけでなく、和柄模様でも作ってみた。さてどうなるかな。
そしてみんな大好きキャラクター。男の子、女の子、うさぎ、パンダ、リス。
娘が顔を描きたがるお年頃なので、その作業は娘のためにとっておく。のっぺらぼう。
それらをおりがみで作ったリースに貼り付けていく。
じゃじゃん!
なでしこを黒と紫のシックなリースにつけたもの。立体感が素敵。
続いてのテーマは夏。
青系のリースにひまわりとリス。娘が「リスさん! ひまわり!」と喜んでくれた! 和柄の花びらも綺麗でしょ。
こちらは母の日用に。
淡い色のリースにマスキングテープで線を描き、カーネーションとお母さんの顔とメッセージを添えて。優しい感じでプレゼントにも良さそう。
試しになでしこのリースを壁に飾ってみた。
あらやだ素敵!
色味を工夫すれば、大人っぽくスッキリおしゃれ。
子どものいるご家庭はもちろん、保育の勉強中の方に、お年寄りのレクリエーションに、指先を使って脳のトレーニングに……。様々な場面で大活躍すること間違いなし。
おりがみで折った季節の花に囲まれ、気持ちが潤う生活。なかなか癒やされますよ!
レビュアー
一級建築士でありながらイラストレーター・占い師・芸能・各種バイトなど、職歴がおかしい1978年千葉県生まれ。趣味は音楽・絵画・書道・舞台などの芸術全般。某高IQ団体会員。今一番面白いことは子育て。