戦中戦後の少年時代と、その後の青年時代、50代にさしかかった「現在」を往来する自伝的連作小説。思い出も幻想も現在も同じ距離感で描くような、全部読み終えると1人の人物の人生のいろんな場面や想いをモザイク状にランダムに並べて見るような読後感。巻末の年譜も、ご本人が書いていて、これがまた断片を積み重ねていく大河物語のようになっていておもしろくて1篇の小説のよう。(カラスヤ)
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。近刊に新書館『カラスヤサトシの孫子まるわかり』、講談社『カラスヤサトシ』9巻、リイド社『カラスヤサトシの戦国散歩』があります。
近況:久々に外出先でゲリラ豪雨にまともに遭遇しました、マジで滝のようでした。