他にも、かつての盟友田山花袋との決別、当時の文芸アイドル樋口一葉への反感、文芸サロンからの離脱など、なんと決別の多いこと。藤村の場合は人格的なものへの懐疑があったようですが、田山花袋などには明確に作品への批判があったみたいで。現代は人間関係の発展保存で世界が広がると思われる気がしますが、文学と決別してのちの柳田國男民俗学の大発展を考えると、決別こそが世界を広げる重要な過程なのかもなどと思いました。(カラスヤ)
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。近刊に新書館『カラスヤサトシの孫子まるわかり』、講談社『カラスヤサトシ』9巻、リイド社『カラスヤサトシの戦国散歩』があります。
近況:またも仕事部屋がカオス化してきました、なんとかしたいものです。