原民喜というと原爆、そして亡き妻を題材にした作品が浮かびますが、それ以外のこともも読みたかった。でも「全小説」というのにほとんど全て原爆、そして亡き妻のことでした。上巻は。長く生きて原爆にも不幸にもあわず書かれた、この人の日常や幻想を読みたかった。どの小説も超繊細な感性が圧倒的な地獄に叩きつぶされるさまを見るようで本当に苦しい。自死の心境を思わせる「魔のひととき」も収録。文章がキレイすぎて哀しすぎる。(カラスヤ)
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。近刊に新書館『カラスヤサトシの孫子まるわかり』、講談社『カラスヤサトシ』9巻、リイド社『カラスヤサトシの戦国散歩』があります。
近況:竹書房より新刊『お湯もプロペラも頭蓋骨もみんな神様だった!』。17日発売です、一言でいうと多神教礼賛マンガです、よろしくお願いいたします!
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