家計簿というと、「コツコツちゃんとつける自信がない」や「大変そう」などという声がよく聞かれるが、その効能は、お金の管理ができることだけではないことがわかった。家計簿をつけることで、得られるものとは?
毎日の献立に困らない、料理記事満載の「お料理家計簿」。付録のカレンダーも人気。
家計簿には生き方も人柄も表れる
「家計簿の数だけ女の人生がある」──漫画家でエッセイストの柴門ふみさんが2010年刊「古くて新しい! 家計簿のすすめ」(講談社刊)という本の中でコメントしている。
「結婚、出産、子供の入学卒業……。節目節目のイベントの出費の記載が、後から振り返ると、日記代わりにその日の状況を思い出すきっかけになることもあります」という読者のコメントでもわかるように、家計簿は自分の歴史、家族の歴史そのもの。暮らしの気づきが全部詰まっている。
家計簿を見ると、その人の癖や習慣、様々なことが見えてくる。まさに、家計簿の数だけ人生がある。 また、日記欄のある家計簿が人気なのは、家計を、出来事やそのときの気持ちと共に振り返ることができるからだけではなく、お金の使い方もより詳しく分析できて計画も立てやすくなるというメリットがあるからだろう。日記欄があることで、より楽しく家計簿をつけることができる、という意見が多数みられた。
お料理家計簿の、このページだけでも、料理レシピ3点、暮らしに役立つ記事5本が詰まっている。自由日記欄も人気の秘密。
家計簿をつけている人は、今後の人生の心配も少ない!?
家計簿を長年つけている人は、老後への不安を感じていない人が多い。「長年家計簿をつけて、しっかり生活費を把握していれば、これからもなんとかなるのではないかと自信が持てます。家計簿の記録を元に先を見据えてがんばろうと、貯蓄に励む前向きな気持ちを持つ余裕もでてきました」「もしもの時、家計簿を観れば、貯金も保険もきちんと書いてあるので安心」 ──今後の人生に向かう気持ちもまったく違ったものになってくる。
「判断に困ったときは以前の記録を参考に考えればよいし、相談相手がいなくても少々記憶力が衰えてきても頼りになるのが過去の記録。自分の財産とも言える」 ──これは、若くして夫に先立たれてシングルマザーになっても、力強く生きてきた女性の言葉である。家計簿をつけている女は強い!
パソコンやスマホでつけるよりも節約効果が高い
家計簿をつけるのは、もちろん便利なソフトやアプリを使っても節約効果はあるだろう。しかし、より効果があるのは、紙に書く家計簿のほうかもしれない。
なぜなら、紙のほうが振り返りをしやすいから。
書いてつけている人は、「時々振り返る」「見返す」「一年の終わりには必ず見返して反省して次の年の計画を立てる」と、見返す人が多いのに対して、パソコンやスマホでつけている人は、入力してしまうとそれで安心していまい、見返すことが少ないようだ。
また、紙だと昨年はどうだったかという比較が、2冊並べて比較したりできるが、データだと1個1個データを引き出しては次を見て、と一度に並べられないのが面倒で、あまり分析しようという気にならない、という感想もあった。
そして「書く」という作業は、記憶にも残りやすい。書きながら自分のお金の使い方をより把握して、節約ポイントなど思いついたことを書いていく……。そんな作業を続けることで、いつの間にか貯まる体質になっている──家計簿愛好者の実感だ。
3日坊主にならないコツは?
67年にわたってずっと売れ続けている「お料理家計簿」には、40年も50年も使い続けている方からも多くのコメントが寄せられているが、そんな人たちも最初からきちんとつけていた人ばかりではないようだ。
「最初は家計簿を2~3日つけては1ヵ月つけなかったり、白紙が多かった。家計をつけない日も日記欄に出来事をメモするなどして、なんとなく時々つけているうちに、見返した時にいろいろ思い出すのが楽しくて、だんだんまめにつけるようになったんです。今ではつけることが習慣になっています」(84歳・主婦)
「楽しくないと長続きしないので、料理のレシピや生活に役立つ記事がたくさん載っている家計簿を使って、読みながらついでにつけているうちに、ちゃんとつけられるようになったんです」(42歳・自営業)
「家計簿の項目通りにつけようとしないで、スーパーでまとめて買ったものは細かく分けずにまとめて書いたり、自分流にカスタマイズしながら使うのも長続きするコツ」「1円単位で合わせようとせず、大雑把でもつけていたら、自分のお金の使い方のくせが見えてきて、無駄づかいが減りました。細かくつけようとしたら絶対続かなかったと思う」(58歳・パート勤務)
──「続けられない」という人には、読者からのこんなコメントが参考になるのではないだろうか。
お料理など記事を楽しみながら家計簿をつけると長続きする。
2017年版の「お料理家計簿」では、1361点の料理レシピのほか、老後の資金を守るポイントや災害への備え方、2017年の開運のコツをまとめた「暮らしの便利帳」も掲載。人気のスケジュールカレンダーのほか、管理栄養士でダイエットクリエーターの竹内冨貴子さんのヘルシージュース&ホットドリンクのレシピなど、別冊付録も充実している。
「家計簿をつけても、お金はたまらない」「家計簿は長続きしないからもうつけない」、そんな先入観を脱ぎ捨てて、成功実例を参考に、気持ちを新たに家計簿を始めてみては?
来年はぜひ、家計簿をつけて、人生も家族関係も上向きに!