明治、大正の小説には定番中の定番のテーマのごとく「人生はなぜこうも不可解なのか」みたいなテーマがよく出てきますが、それはウラを返せば、他のことは今より単純でわかりやすいことが多かったのかもしれません。いちいちがややこしくなりすぎた現代では、だいたいのことは全貌が見えず、それにつれて小説の登場人物の考え方も立ち位置もややこしいものになっていくようです。30年前の作品ですが、とっくに現代が描かれているようです。(カラスヤ)
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。
近況:風邪にはネギうどんに限ります。