循環器専門医の著者は、いくつかの病院勤務を経たのち、2004年からはカネディアンヒル介護老人保健施設(老健)の施設長として、多くの高齢者の診察に当たってきた。現在は13の介護系施設を運営する医療法人社団創生会の理事長を務めるかたわら、介護に関する情報をブログで発信し続けている。こうした長年の経験をまとめた前著『最高の介護』(講談社)は、発売後まもなく大きな反響を呼んだという。
本書は前著に続く一冊であり、執筆の狙いは以下の通りだ。
今回この本で、皆さんにお話しすることは、介護の「前」と「後」です。まず、介護に至る前、どうすれば健康寿命を延ばせるのか、何に気を付け、どんなことをしていれば、介護のリスクを減らせるかというお話をします。
現在、日本の65歳以上の約20%が介護認定を受けています。85歳以上では約60%、つまり半数以上に介護が必要です。介護状態になりたいと願っている人はいませんが、現実は厳しい。完全に介護ゼロは難しくとも、少しでもリスクを減らす方法があるならば、試して損はありません。
特に心に響いたのは、第7章の冒頭だ。それは「でも、人は『最期』を選べないことも知っておく」という一言から始まる。
人はどこでいつ生まれるかを選べないように、死ぬ時期や死に場所、死に方を選べません。ポックリ死にたいなあとか、家族に囲まれて死にたいとか、眠るように死にたいとか希望はあれど、なかなかその通りにはならないものです。事故で突然亡くなったり、若くして病気になったりはもちろんですが、高齢になって天寿を全うする時期になってもやはり選べないのです。
(中略)
人事を尽くしたらあとは天命です。わたしたちがどうこうできることではなく、誰の責任でもありません。望む通りにしてあげられなかったとしても、それは決してあなたのせいではないということを忘れないでください。
章の合間に収められた「介護施設一覧」と3つのコラムには「施設介護か在宅介護か」「元気なうちに何を決めおけばいいのか」「延命治療の選択」といった本文の要点がまとめられており、これから介護に向き合う人には役立つ内容となっている。実用的なだけでなく、介護に関わる人の気持ちにも寄り添ってくれる本書を、早めに手に取り、心の支えとしてほしい。








