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2025.12.11

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【ノーベル生理学・医学賞受賞】坂口志文氏の著作『免疫の守護者 制御性T細胞とはなにか』を担当編集者が語る

科学者の奥さまと共に歩まれた40年以上の研究人生

ブルーバックス編集者なら誰しも一度は夢見る、自分が担当した著者がノーベル賞を受賞するという僥倖。現実にはほとんどミッション・インポッシブルといえますが、まさか自分もその奇跡に巡り合うとは。坂口志文先生のノーベル生理学・医学賞受賞ニュースを聞いた瞬間、腰を抜かすほど驚きました。免疫抑制の阻害因子によるがん治療法の発見で本庶佑先生が2018年に受賞された後、「隣接分野の坂口先生は遠のいた」といわれていただけに、まさに嬉しい誤算でした。

2020年に科学ジャーナリストの塚﨑朝子さんとの共著としてブルーバックスから刊行された『免疫の守護者 制御性T細胞とはなにか』は、坂口先生の40年以上にわたる探究の軌跡をたどる一冊です。難解とされる免疫学の中で、特に理解が難しいといわれる「制御性T細胞」をテーマに、先生と塚﨑さんが一般の方にも伝わるように丁寧な議論を重ねて完成しました。単なる研究解説書にとどまらず、先生の誠実で温かなお人柄が伝わるように、幼少時から学生時代のエピソードも盛り込んでいます。

残念ながら、校了直前まで掲載する予定だった奥さま・教子さんの数枚の写真は、「恥ずかしいから」とのご意向で掲載を見合わせました。自らも科学者として、坂口先生の研究人生を陰で支え続けた教子さんの存在を強くアピールできなかったのは、編集者として心残りです。

若き日に発想した仮説をひたすら追い求めて、周囲の無理解や資金不足などさまざまな困難を乗り越えて見事に証明。「研究者の中の研究者」と称される坂口先生の凄みを、ぜひ本書を通じて感じ取っていただければ幸いです。

──学芸第一出版部 高月順一

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