“妻はお金がない”という事実
「〈妻のお金の問題〉最新事情を超絶やさしく解説します」という惹句(じゃっく)に偽りなしの本書。各章の導入部分で漫画が入り、そのあと妻が抱える疑問や不安に一問一答式で展開する、わかりやすい構成になっている。そして、わかりやすいがゆえに「私、このままでいいの?」「なんかヤバいんじゃない?」と思うこと必至。なにせ一発目の一問一答がこれ。
妻のキモチ Q. 夫のお金は私のお金でもありますよね?
先生の答え A. いいえ、あなたのお金じゃありません
家のお金と個人のお金は別もの。となると、妻のお金はどこにあるのでしょう? 自分名義の口座を持っていれば、その残高が妻のお金のすべてです。独身時代の貯金がそのまま残っている場合もあるでしょう。もしも、自分名義の口座がない、もしくはその口座に残高がないなら、妻のお金は1円もないということになります。そう考えると、ちょっと怖くなってきませんか。
妻のキモチ Q.「年収の壁」って超えたら損ですよね?
先生の答え A.「壁」を超えなければ将来的にジリ貧です
妻のギモン Q. 年収の壁って……どれだけあるんですか!?
先生の答え A. 色々な壁がありますが、全部知らなくてもOK


妻の働き方、子どもの教育、そして老後

3章は「子供がいても自分らしく働くために」、4章は「家計の泣きどころ、教育費で失敗しない!」、5章が「最後は一人。老後のお金は自分で作る」というタイトルになっている。働くという選択肢を見据えつつも、必要な知識として各種給付金や助成金についてもカバー。さらには児童手当の賢い使い方、学資保険の注意事項、父母や祖父母からの援助、奨学金、老後に向けての貯蓄や年金、iDeCo、NISAまで隙のない内容となっている。「うちの子は勉強嫌い。大学なんて想像できません」とか、「熟年離婚がお得って本当ですか?」といった、本当に親しい人にしか相談できないような内容にも、ズバリと回答してくれる。たしかに今は生きにくい時代。誰もが不安で膝を抱えてしまうような状況だけれど、この本は“妻”が立ち上がり、歩みだす方向をしっかりと照らしてくれるだろう。