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2025.01.06

レビュー

「小1の壁」に悩む全ワーママに捧ぐ! 悩みもトラブルもあって当たり前。今日からできる、壁攻略法!

小学校入学を控えたすべての親に贈りたい!

子どもを持つ働く女性への支援、ワーキングスタイルの柔軟な対応……、官民そろって対応が急がれる事案は多い。そのために活発な議論を行い、私たちの意識のアップデートは繰り返されるべき。それは本当にそう! そうではあるのだけれど、国だの自治体だの企業だの大きい主語の話の前に、今まさに「小1の壁」にぶつかろうとしている家庭、お母さん、ワーママ(働くママ)という小さい主語の皆さんに、本書を贈りたい。これ、タイトルどおり「これ一冊でOK!」と言えるほど「抜けがなく」「具体的な」情報が載っている。

そもそも「小1の壁」とは
共働き世帯にとって、保育園時代と大きく異なることのひとつが「親のサポートが増える」ということ。
子どものメンタルケアや勉強のサポートが増える家庭も多く、親のサポートは正直「園時代の100倍くらいになる!」
という状況のこと。
・平日の行事や役員仕事が多くて、溶けていく有給
・前触れもなく突然やってくる学級閉鎖
・習い事の送迎
・一度読んだだけでは内容がわからない小学校のプリント
・「時計」「漢字」「九九」など基礎学習への不安
・子どもの友人関係のトラブル
・いつもより大変になる春休み・夏休み・冬休み
共働き世帯やシングルマザーにとって、これら一つひとつが家計や生活を直撃し、絶望の声を上げたくなるものばかり。こんな「小1の壁」を前にして「それぐらい……」なんて言えるのは、昭和の時代で時間が止まっているか、想像力の欠如を疑うしかない。

著者のうなぎママさんは二児の母で、育休復帰後にマミートラック(出産や育児を理由に、女性社員がキャリアアップのチャンスを失ってしまう状態)に乗ってしまい、その閉塞感からブログを開設。自身が「小1の壁」にぶつかった経験から、10万人以上のフォロワーの声を集め、その攻略法について約4年にわたって情報発信をしてきた人物だ。うなぎママと10万人のフォロワーの集合知をまとめた本書があれば、「小1の壁」について全体的に理解し、具体的な対処法を知ることができる。
この本が目指しているのは次の3つ。(1)小学校生活を具体的にイメージでき、今から入学準備を始められる(すでに入学して「小1の壁」にぶち当たっている場合、その対処法がわかる)。(2)もし悩むことがあったとしても、自分だけじゃないと理解する。(3)漠然とした不安が解消され、小学生ママライフが楽しみになる。
本書の内容が少しでも頭に入っていれば、心の負担はかなり軽くなるはずだ。

生の意見があなたを支える

本書の内容はとても立体的にできていて、親が抱えるであろうトラブルや悩みについて全方向から応える内容になっている。小学校入学の前年11月からのTo Doリスト。子どもの安全を守るために教えておくべきルールや習慣。学童の選び方やメリット/デメリット。小学生を持つワーママの働き方から、子どもの宿題や学習についてなど、さまざまな視点、シーンを想定している。たとえば「ママ友って必要? どうやってつくればいいの」といった疑問にも、かなり突っ込んだアドバイスが出てくる。
私自身は、「困ったときに何かを聞けるくらいの、ほどよい距離感の知り合い」は複数人いたほうが絶対に良いと思っています。
ちなみに学童ママたちは忙しく、お互いに干渉している時間がないせいか「ママ友トラブルにはなりにくい」と感じます。
そ、そうなんだ。さらに「子どもの友だちのママに、自分から連絡先を聞くのが苦手な人が6割以上もいる」というアンケート結果から
待っていても相手から連絡先を聞いてもらえる可能性は低いですし、逆に言えばこちらから聞くことで相手は「助かる!」と思ってくれる可能性が高いです。
と言われると、「そんなものなんだ」と思えるのではないだろうか。

また深刻になりがちなテーマだけど、章ごとに漫画の導入部分があってとっつきやすい。
そして秀逸なのが、バックが緑色のコラムページ! 先輩ママたちの生の意見や、ちょっとした時短テクニック、「我が意を得たり!」な識者のアドバイスが満載。本屋でこの緑色のページだけでもパラパラと読めば、目から鱗が落ちるはず!
「小1の壁」を乗り越えるのは大変だ。しかし、子育ては楽しいものであってほしいし、とても貴重な時間であってほしい。同時にお母さんの人生だって、子どもの人生同様に大切だし、ワーママのキャリアだってかけがえがない。本書は、そのどちらも大切にするための知恵の書だ。望むべくは、本書が今の時代の「急場しのぎ」となり、将来は必要なくなること。世の中のママさんたちの知恵の書として、「小1の壁」に対してぼんやり考えている夫を目覚めさせる書として、この本を手に取ってほしい。

レビュアー

嶋津善之

関西出身、映画・漫画・小説から投資・不動産・テック系まで、なんでも対応するライター兼、編集者。座右の銘は「終わらない仕事はない」。

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