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2024.12.19

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本当に身につけたい「老いない習慣」10──実践するかしないかで未来は確実に変わる!

自律神経のパワーを上げて若々しさをキープ

「老化って何でしょう?」
こう訊かれたとき、医師として一番簡単に答えるなら、
「血流が悪くなること」
の一言につきます。
気力が長続きしない。疲れがなかなかとれない……。
自分の老化について話し始めたら、いくらでも症状を挙げられる50代。老化イコール体の変調と思っていないだろうか? しかし、“老化とは血流が悪くなること”と言われてハッとした。
「じゃあ、血流を良くすればいいんじゃないか?」
そう考えると、なかなか解けなかった問題がスルスルと解けた気になる。じゃあ、血流を良くするにはどうすればいいか? 著者は、全身の血流をコントロールする「自律神経」を整えればよいと言う。自律神経とは、心臓や血液の流れなど自分の意思ではコントロールできない生命維持活動を司(つかさど)っている神経系のこと。この自律神経は年齢とともに徐々に衰え、50歳を過ぎると野生動物であれば自然界で生きられないレベルまで下がるのだとか。ショック!

自律神経は交感神経と副交感神経に分けられ、よく「交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキ」と例えられる。
特に副交感神経の働きは加齢とともに顕著に急降下。50代の身体は、いわばブレーキの効きにくい車。調子悪くて当たり前なのだ。そこでまず求められるのは、副交感神経の働きを高めて自律神経のバランスをとること。さらに交感神経も副交感神経もトータルで高い状態にすれば、少しぐらい自律神経のバランスが乱れてもリカバリーしやすい理想的な健康状態を保つことができるという。ここまでの理屈はバッチリ! では、そのために何をすれば良いか?

習慣を変えること!

「やっぱりそこか……」と、世の50代はここで尻込みをするのではないだろうか。人間、ぼんやり続けている習慣ほど変えにくいものはない。それを50代は身に沁みて知っている。だからこそ声を大にして言いたい! そう思っている世代にこそ、本書を読んでほしい。なぜなら前向きに習慣を変える気にさせることにかけて、本書は子供や孫の忠告よりも効き目があるからだ。

「わかりやすく」「隙がなく」「理詰め」

著者は100冊近くの本を書き、その販売部数300万部(累計)という順天堂大学医学部の小林弘幸教授。自律神経研究の第一人者が、自律神経を整えるために“本当に身につけたい”習慣を10個まで絞って紹介してくれる。その10個の習慣とは、書き換える/片づける/鍛える/やめる/はじめる/時間を決める/記録する/定番を持つ/音楽を聴く/計画する、である。各項目の冒頭には「用法」「効果効能」「問診票」が付いていて、非常にわかりやすい構成になっている。例えば「書き換える」の項目はこんな感じ。
ここから習慣を変えるための、先生のお話が始まる。それも講演会の壇上から語りかけるのではなく、小林先生のカウンセリングを受けているように、目線を合わせて話を聞いている安心感がある。例えば「習慣を変えるって言ってもなぁ……」というこちら側に対して
歳をとるということは、それだけでモチベーションが下がってしまうようにできているというわけです。ですから50代、60代から輝こうというのは相当難しいことであることは間違いありません。でもそれをできるかどうかのカギがモチベーションです。(中略)「老化」「老い」という言葉をどう受け止めて、どう考えていくか、後ろ向きになりがちなイメージを、常に前向きに書き換えていくことが重要になってきます。
と、すべてお見通し。本書の魅力を簡単に3つにまとめるなら「わかりやすく」「隙がなく」「理詰め」。淡々と「今のあなたはこうなんじゃないですか?」「それにはこういう理由があるんですよ」「それを変えるにはこうした方がいいですよ」「さらにココに重点を置くと効果的なんです」と展開する話に、思わず「ほうほう、そうなんですか」と、うなずいてしまう。

本書は、自律神経を整えるため、老いないための10個の習慣を紹介している。これらは“本当に身につけたい”習慣ではあるけれど、実際に10の習慣すべてを「いきなり」身につけることは難しいと思う。まずはひとつ、小さいことをひとつ始めれば、そこに心の余裕ができ、その余裕が「なにか始めてみよう」というモチベーションを生む。
きっかけさえつかめば、ひいてはそれが自律神経を上げ、老いを改善し、いい流れをつくりだし、その流れに乗っていくチャンスになります。後悔があるからこそ、新しい挑戦ができる、そういう人こそ、自分の人生を挽回できるのです。今から「死」を迎えるまでの時間が、すべての答えを導き出してくれる時間です。
そう言われると、漠とした不安に包まれた未来に太陽の光が差し込まないだろうか?

レビュアー

嶋津善之

関西出身、映画・漫画・小説から投資・不動産・テック系まで、なんでも対応するライター兼、編集者。座右の銘は「終わらない仕事はない」。

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