自律神経のパワーを上げて若々しさをキープ
「老化って何でしょう?」
こう訊かれたとき、医師として一番簡単に答えるなら、
「血流が悪くなること」
の一言につきます。
自分の老化について話し始めたら、いくらでも症状を挙げられる50代。老化イコール体の変調と思っていないだろうか? しかし、“老化とは血流が悪くなること”と言われてハッとした。
「じゃあ、血流を良くすればいいんじゃないか?」
そう考えると、なかなか解けなかった問題がスルスルと解けた気になる。じゃあ、血流を良くするにはどうすればいいか? 著者は、全身の血流をコントロールする「自律神経」を整えればよいと言う。自律神経とは、心臓や血液の流れなど自分の意思ではコントロールできない生命維持活動を司(つかさど)っている神経系のこと。この自律神経は年齢とともに徐々に衰え、50歳を過ぎると野生動物であれば自然界で生きられないレベルまで下がるのだとか。ショック!
自律神経は交感神経と副交感神経に分けられ、よく「交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキ」と例えられる。
習慣を変えること!
「やっぱりそこか……」と、世の50代はここで尻込みをするのではないだろうか。人間、ぼんやり続けている習慣ほど変えにくいものはない。それを50代は身に沁みて知っている。だからこそ声を大にして言いたい! そう思っている世代にこそ、本書を読んでほしい。なぜなら前向きに習慣を変える気にさせることにかけて、本書は子供や孫の忠告よりも効き目があるからだ。
「わかりやすく」「隙がなく」「理詰め」
歳をとるということは、それだけでモチベーションが下がってしまうようにできているというわけです。ですから50代、60代から輝こうというのは相当難しいことであることは間違いありません。でもそれをできるかどうかのカギがモチベーションです。(中略)「老化」「老い」という言葉をどう受け止めて、どう考えていくか、後ろ向きになりがちなイメージを、常に前向きに書き換えていくことが重要になってきます。
本書は、自律神経を整えるため、老いないための10個の習慣を紹介している。これらは“本当に身につけたい”習慣ではあるけれど、実際に10の習慣すべてを「いきなり」身につけることは難しいと思う。まずはひとつ、小さいことをひとつ始めれば、そこに心の余裕ができ、その余裕が「なにか始めてみよう」というモチベーションを生む。
きっかけさえつかめば、ひいてはそれが自律神経を上げ、老いを改善し、いい流れをつくりだし、その流れに乗っていくチャンスになります。後悔があるからこそ、新しい挑戦ができる、そういう人こそ、自分の人生を挽回できるのです。今から「死」を迎えるまでの時間が、すべての答えを導き出してくれる時間です。