どの会社にも、いわゆる「名物社員」と呼ばれる方がいると思いますが、わが講談社が誇る「名物社員」が書いた本です。では、どのあたりが「名物」なのかと言いますと、ここには書けないこともたくさんあるのですが、とにかく中国(東アジア)を取材しまくっていて、解説者としてテレビにも出まくっている先輩でして、もはや母語の日本語よりも中国語を上手に話すと噂されています。
そんな奇才(?)ゆえか、今回もこんな中国グルメ本を書いてしまったわけです。四川・広東・北京・上海のいわゆる「四大料理」どころか、湖南、山西、甘粛、雲南、陝西など、なかなか味わえない中国各地の料理をなんと東京で食べられるという、ガチンコの中華料理店を、料理だけでなく、その地域の情景や民族的考察なども交えながら語り尽くすという「快食」にして「怪食」エッセイです。フライデー時代に鍛えたという写真の腕で、著者自身が撮った料理の写真も満載です。
──学芸第二出版部 青木肇
レビュアー
学芸第二出版部