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2023.11.16

レビュー

24歳、学歴ナシ・職歴ナシで起業して成功!からの自己破産、そして復活! 普通の男の大逆転劇

今、この時から行動しよう

「自分は天才だ」と心から思える人がどれだけいるだろう? 「私って天才」などと自分を鼓舞することは私にもあるが、本当に自信に満ちているわけではない。学歴や環境などへの劣等感を抱えた人や、「自分にはビジネスの才能がないのでは?」と考えている人、挑戦する勇気が湧かない人など、「自分は凡人」と思っている人が大多数ではないだろうか。

しかし、「天才だから一流で、凡人だからそれ以外」とは限らない。あらゆる業界にごく少数の「天才」がいるが、世の中のほとんどの人はごく普通の人、つまり「凡人」である。世界を回しているのは、その「凡人」なのだ。

『凡人の戦術』は、ごく普通の人、つまり「凡人」が一流になるための「行動する勇気」を持たせてくれる本だ。
著者の前田桂尚さんは38歳。株式会社SPG HOLDINGS取締役COO(最高執行責任者)をメインに、実践型営業支援サービスを提供するedgeworksのCEOを務めている。「学歴なし」「キャリアなし」の状態で、ある会社の社長に就任したのは24歳の時。いわゆる「凡人」のイメージよりも、かなり恵まれているように見える。
しかし、この社長就任は前田さんにとっての転落人生の始まりだった。会社の経営はうまくいかず、紆余曲折を経て32歳で自己破産に至ってしまう。
沼の中でもがくような日々を経た前田さんは、「経験値で知識面を凌駕する」「考えるよりも先に動く」を信念に行動し続ける。この本にはそんな日々の中で得た実践的なノウハウがギュッと詰まっている。

本書のサブタイトルは「天才にもエリートにもなれなかった僕たちが、この世の中で勝ち残るために必要なこと」だ。
ビジネスはあらゆる人が成果を出せる公平な場であり、やり方さえ知っていれば誰にでも可能性が無限に拓かれている……本書にはそんなメッセージも込められている。

前田さんはこう問いかける。

1000日前、きみは何をしていただろうか?
1000日後、きみは何をしているだろうか?
変わりたいなら、次の1000日間、必死で何かに取り組んでみてほしい。1000日頑張れば、違う世界が待っているはずなのだから。

1000日後のあなたへ

タイトルに「凡人」とあるとおり、この本には難しい表現や用語は少ない。凡人がビジネスの世界で成果を出すための各トピックスは3ページほどにまとまっており、サラサラと読めて理解しやすい。
「行動する理由は自分で決める」「強みは『かけ合わせ』でつくる」など、すぐに取り入れられそうな考え方もあれば、「人が嫌がる仕事を選ぶ」「『苦労しそうな仕事』からしか得るものはない」といった、少し辛口な項目もある。表現は違えど「あえて厳しい道を行く」ということが本書を通じて繰り返し語られている。

「知っている」「聞いたことがある」感じた項目もあったが、継続的に取り組めているか、と言われればそんなことはないのだ。「知っている」と「実践できている」は別モノで、この差を埋めることが頭角を現すための第一歩なのかもしれない。まずは「とにかく場数を踏む」べきだな……と気分が高揚し始めたころ、「傷つくときは、ちゃんと傷つく」というフレーズが目に飛び込んできた。
しかし「ちゃんと傷つく」とは「落ち込む時間を取りましょう」ということではない。

周りを見ていて思うのは、負けグセがついている人が多いということだ。

前田さんの言う「負けグセ」とは、「断られることに慣れてしまう」ことを指すようだ。

「ちゃんと傷つく」とは、ダメージから目をそらさないことだ。人より行動しながら、断られることや負けることに慣れることなく、同じ失敗を繰り返さないよう原因を分析する。つまりはPDCAを回すことなのだ。
「自分を守りながら勝てるほど甘くない」と前田さんは言う。この本では前田さんの身に起こった数々の「失敗」についても語られているが、「後悔した」「落ち込んだ」でまとめられている経験はない。あとから見れば、全てはプラスだった……。そう言い切れるように、チャレンジを重ねていけば、1000日後、ひいては10年後の自分の姿は大きく違っているだろうと思わせてくれる。

今の日本は超高齢社会で、若い人が少ない。10年というスパンで長期的に努力できる人は、ほぼ確実に勝てるだろう。
勝つためには、今こそチャンスである。――そう考えると、行動する勇気がまたひとつ湧いてくるのではないだろうか?

もし、平凡な自分には大きな成果はあげられないと感じていたり、現状に行き詰っているなら、この本を手に取ってみてほしい。自分の人生を大きく変える、新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれる。

レビュアー

中野亜希

ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。

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