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「情報」という仮面をかぶった悪意を『罪の声』塩田武士が暴く!

2018.08.01
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『罪の声』著者・塩田武士の最新社会派小説が登場!

「誤報」にまつわる5つの物語。

新聞、テレビ、週刊誌、ネットメディア――昭和が終わり、平成も終わる。
気づけば私たちは、リアルもフェイクも混じった膨大な情報(ジャンク)に囲まれていた。その混沌につけ込み、真実を歪ませて「革命」を企む“わるいやつら”が、この国で蠢(うごめ)いている。松本清張は「戦争」を背負って昭和を描いた。塩田武士は「情報」を背負い、平成と未来を描く。

全日本人必読。背筋も凍る世界が見えてくる。

塩田武士インタビュー動画

著者・塩田武士からのメッセージ

私たちは「情報の世紀」に生きています。

インターネットが最重要インフラの一つとなり、世界は堰を切ったように激しい変化を続けています。街の店舗が画面の中に吸い込まれ、現金が数字に変わり、あらゆる娯楽がデジタルデータと化す——暮らしの中から少しずつ質感が失われていく中で、大半の人が「希望」と「不安」を表裏とするコインを手に、戸惑っているのではないでしょうか。

経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが唱えた「創造的破壊」は、資本主義が持つ合理性の新陳代謝を指す言葉です。シュンペーターは「(損益計算の)論理・姿勢・方式が(中略)美や正義の概念、心に思い描く願いまでをも配下に置いて合理化する」と記しています。

今、レガシー・メディアと呼ばれる新聞、テレビ、雑誌は「非効率なもの」、また「第四権力」の象徴としてネット上で揶揄され、影響力を落としています。その間隙を縫い、SNSを主戦場にフェイクニュースというウイルスが撒き散らされ、犯罪を誘発するなど混乱を深めています。「正しく、人の役に立つ」というニュースの大前提、つまり「美や正義の概念」が揺らぎ「軽々しく、自分の役に立つ」方向へ進んでいるよう思えてなりません。

あらゆる芸術・娯楽と同じく、小説もまた「時代を映す鏡」です。元新聞記者の小説家として、このモヤモヤとした気持ちを物語にできないかと、ずっと考えてきました。その結果、私は連作短編という表現で「誤報」を切り取ることにしました。

全五章から成る本作には、各章ごとに明確なテーマがあります。「誤報と虚報」「誤報と時効」「誤報と沈黙」「誤報と娯楽」「誤報と権力」——それぞれ序盤と終盤に不意を衝く流れを用意しています。人間の悪意に冷や汗をかき、予期せぬ展開にハッとし、各々が絶妙の塩梅で影響し合って最終章へもつれ込む……堅苦しいことを書いてきましたが、小説はやはりエンターテインメントです。これまで以上に面白さを追求して執筆しました。

短編小説は物語のキレが勝負の分かれ目です。各章のタイトルは、私が短編作品で最も影響を受け、尊敬して止まない松本清張を強く意識してつけています。このことからも私の意気込みが伝われば幸いです。

インフラである以上、情報リテラシーは私たちの暮らしに欠かせないものです。情報が溢れ返り、何を信じればいいのか分からない。そんな迷宮のような現代社会に、本作のリアリティが突き刺さることを願っています。

新聞大国であり高齢化社会の日本では、世界と比べ落ち着いた速度で「紙」という質感が失われているものの、オンライン・ジャーナリズム全盛時代の足音は確実に近づいています。記者クラブメディアを中心とした「主流ジャーナリズム」と、その対極にあった「オルタナティブ・ジャーナリズム」を隔てていた壁が壊れ、そこにSNSで拡散する「パーソナル・ジャーナリズム」が加わり、ニュース業界はさらに玉石混交の様相が際立つと予測されます。「信頼されるウェブ・ニュース群」の登場が待たれる、そんな時代に生きているのだと実感しています。

私は活字の深さを信じています。小説は読者1人ひとりが自ら登場人物や風景を想像して初めて完結します。つまり、作家と読者が協力して創作している、と言っても過言ではありません。

現代作家として常に時代と向き合い、必要とされる書き手でありたい。そのために「なぜこの物語を書くのか」を考え続けたいと思っています。

全国の書店員さんから熱いコメントが続々寄せられています!

フィクションだとわかって読んでいるのに、関西弁ということもあって、余計にリアルに響いてきました。まるでドキュメンタリー映像を見ているかのようでした。(ジュンク堂西宮店 曽田未絵さん)

情報を操作し、罪のない人の人生を狂わせる。誤報の裏に隠れる悪意にぞっとしました。ネット社会の現代、情報に翻弄される時代となり、何を信じていいか判らない私たちがいま読むべき作品です。新聞社に身を置き、情報の恐ろしさを肌で感じた著者にしか描けません。5つの物語がひとつの物語へ。激流に呑まれたかのような衝撃を受けました!!(丸善名古屋本店 竹腰香里さん)

この作品「誤報」がテーマということで難しいものをと思いながら読み進めました。普段から情報収集のため、テレビのニュースや情報番組(境界線が曖昧になっていますが)を見ていますが報道というもの(報道の公正や公平さ)を胡散臭く思っているところがあるので興味深く、また怖さも感じました。テレビや新聞などのメディアだけでなく、SNSでも言葉を使う人はその言葉の持つ危険性をどれだけ意識しているのか。疑問です。(ジュンク堂書店ロフト名古屋店 原田元樹さん)

レガシーメディア。今、私たちが「事実」もしくは「真実」として受け取っている情報がどこかで誰かによって取捨選択され、書き換えられ作り出されているものだとしたら。そしてその歪んだ情報によって人生を捻じ曲げられた人がいるとしたら。いったい誰がどうやってその償いをするのか。いや、そもそも真実を知ることがなければその歪まされた人生さえ闇の中のはず。償いなんて生じない。間違った情報が次々と拡散していく怖さ。SNSの持つ力を実感として得ている今、この小説は2重にも3重にもその怖さを突き付けてくる。頭も心も柔らかい若い世代はきっと「歪んだ」情報によって動かされていく。怖い。怖くて仕方がない。(精文館書店中嶋新町店 久田かおりさん)

情報の持つ攻撃性、その不気味な破壊力に背筋が寒くなった。今自分が見ているもの、それは本当にその形をしているのか? そう思い込まされているだけではないのか?(紀伊國屋書店徳島店 吉田咲子さん)

すっかり社会派小説家の名前が定着した塩田武士氏の最新刊は、メディアを5つの角度で切り取った短編集。各タイトルは、昭和の社会派小説家、松本清張氏へのオマージュにもなっており、その意気込みが伝わってくる。誤報の後に真実あり、とは云うものの、大衆はそれを見極める事が出来るだろうか? 時代と共に、メディアの在り方も変動するものであろうが、「記者は現場やで」相賀の言葉は不変だと思った。報道する側に居た著者だからこそ描けた、リアルフィクションの傑作!(大垣書店高槻店 井上哲也さん)

誤報をめぐる被害者と作成者の相互の心理が臨場感たっぷりに描かれていてページをめくる手が止まらなくなる。さらに、両者を奥で操っている強大な権力の登場により、現代メディアの限界が浮かび上がり、私たち読者に危機感を募らせる。(ジュンク堂書店新潟店 小松さん)

新聞もネットニュースも結局は記者という人間の目を通して描かれているということをいまいちど実感した。フェイクが世論になり事実となってしまう怖さ、情報の凶器性を感じた。(ジュンク堂松山店 石岡さん)

気鋭の社会派作家・塩田武士さんが、今作で現代社会から切り取ったのは「誤報」。元新聞記者の著者ならではのテーマで描くあまりに生々しい5つの連作短編は、情報リテラシーを学ぶ最高の教科書だ!(文苑堂書店新湊店 鳥山寿治さん)

カオスのように思えた物語が、ひとつの事件・人物をキーとして収斂してゆく。それも全く予想もつかないつながりとともに。私たちが「信頼」している「情報」を足元から揺るがしながら……。頭が割れそうである。混乱している。これは私たちが理解し、処理できる脳の容量ぎりぎりをついてくる物語だと思った。いったい塩田武士の頭のなかはどうなっているのだろうか!? このミス1位でしょうコレは!!(さわやフェザン店 松本大介さん)

SNSの海に浮いて生活している今、新聞、雑誌、ネットニュースはあふれ素人も容易に情報を流し、本当に何を信じていいかわからない。どこよりも早く、どこもつかんでないスクープをとるため戦う記者。誤報が生まれるのも当然と感じるし、記事をうのみにせず、うけとめていく力が私たちにも必要だ。連作だが、別の事件でも実はつながっていて長編として読め、もちろんフィクションだがドキュメント作品としてうけとめられる作品。(ジュンク堂三宮店 三瓶ひとみさん)

『罪の声』を読んだ時にも感じましたが、物語がとてもリアルで、作中の事件は本当に起こってもおかしくない、いや既に起こっているかも、とそう感じさせられました。(ジュンク堂吉祥寺店 河合駿介さん)

この時代に生き、塩田武士さんにしか書けないこの小説、新しいステージに立った塩田武士さんの誕生の目撃者になれたことに感激しています。はびこる誤報に対し、麻痺した世の中に小説の力で波紋をおこす挑戦小説といえるのではないでしょうか。随所に苦いスパイスが効いていて、途中のさすがという仕掛け、序盤、中盤、ラストとつながった時、そうつながるのかとその筆力にためいきがでました。驚きをかくせません。誤報の影には哀しいドラマが存在します。小説の力を信じたい。塩田武士さんの望む未来を一緒につくりあげていきたいという気持ちでいっぱいになりました。「歪んだ波紋」猛プッシュ、販売します。(ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん)

僕らは一体何を守り何を信じ、何のために生きていけばよいのか。揺らめく正義、蔓延る悪意……全編から深くヒリつく空気……偽らざる迫真の肉声……繰り広げられる物語はまさに現在進行形だ!! “小説”の域を超越した圧巻のリアリティでこの国の“真実”を暴き出す――いま最も裏切らない男、塩田武士の新作もまた驚異の充実度!! 絶対的に必要な文学世界がここにある!(三省堂書店営業企画室 内田剛さん)

情報。その根底を捉え揺さぶり切り込んでいく力強い筆致に、私達は情報によって生かされ、この世界に繋ぎ止められているんだと痛感した!! 塩田さんの新しい代表作の誕生だ!!(喜久屋書店東急プラザ新長田店 松本大さん)

真実を報道するために駆けまわる記者。だがこれは、ただ熱い仕事小説ではない。真実とはそもそも何なのか? それを人が信じさえすればそれは真実になり得るのか? 尽きることのない問いがあふれだす、塩田武士にしか書けない社会派小説。(大垣書店イオンモールKYOTO店 辻香月さん)

フェイクニュースがはびこる現代で、私たちはいったい何を信じればいいのだろう。今まではいったい何を信じていたのだろう。 最初の小さな過ちの波は、やがて大きな波となって世界を飲み込んでいく。「現場で、この目で考える」記者がこの本によってひとりでも増えることを祈っている。(紀伊國屋書店梅田本店 小泉真規子さん)

記者たちの危うい一線を描いた連作短編。誤報を飛ばしたら、どうなるのか? ただの文字だけれど、言葉にして起こったことを伝える文章や映像が、加害者だけでなく被害者も追いこみ、その後の人生までも変えてしまう。記者たちのスクープを狙う高揚感と、情報をめぐる頭脳戦にハラハラし、誤報によりひたひたと人生に並走してくる闇も垣間見ながら、「報道する側のスクープ記事」をこっそり読んでいるような気持ちで読み終えた。(ブックファースト野田アプラ店 岸田安見さん)

  • 電子あり
『歪んだ波紋』書影
著:塩田 武士

記者は取材中に一度は未知の扉を開けるものだ。

「黒い依頼」――誤報と虚報
「共犯者」――誤報と時効
「ゼロの影」――誤報と沈黙
「Dの微笑」――誤報と娯楽
「歪んだ波紋」――誤報と権力

「面白かったからや。ギラギラして、貪欲にネタを欲しがる様がたくましく思えてな。最近おらんやろ。新聞社にそんな人間」

新聞、テレビ、週刊誌、ネットメディア――情報のプリズムは、武器にもなり、人間を 狂わす。そして、「革命」を企む、“わるいやつら”が、いる。ベストセラー『罪の声』の“社会派”塩田武士が挑む、5つのリアルフィクション。誤報の後に、真実がある。

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