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資産運用のプロ・プライベートバンカーが教える「1000万円から富裕層への道」
(著:杉山 智一)
毎月の暮らしで精一杯、資産を増やすどころか貯金すら危うい……。そもそも、貯金することに意味が見いだせないから頑張れない。そんな人こそ実は読んだほうがいい本があります。「元金5000万円で毎年500万円のリターン」という帯が目につくこちらの1冊、「プライベートバンカー」という「富裕層」向けのプロが書かれた資産運用のテクニック本です。
誰だって、お金持ちになれるならなりたい。でも、なりかたが分からない。それには、お金持ちの考え方や行動に触れてみるのが一番の近道かもしれません。普通の人と、果たして何が違うのでしょうか。
■プライベートバンカーとは
ただ、プライベートバンカーって一般的にはなかなか縁のない職業でイメージがつきにくいですよね。この本で説明されるプライベートバンカーの定義は
個人の富裕層をメインの顧客とし、その顧客にとって最も適した資産管理・資産保全・資産運用方法(ソリューション)を提案し、顧客が独自では得られない資産防衛と運用のためのインフラ・環境を手にしてもらう、という仕事だ
とされています。お金持ちは「どうやって今ある財産を減らさないか」という悩みがあるのが一般人との違いですね。この本では、海外の生命保険を使った資産運用の方法や節税の具体的な方法が載っています。でも、それって一般人には役に立たない情報では?
いえいえ、筆者はお金を増やすプロですから、私たちはこの本から“一般の人が富裕層に近づくためにはどうしたら良いのか”という方法を知ることもできるのです。
■一般人がお金持ちに近づくためには?
お金持ちには知識も人脈にも恵まれた環境にあって、プライベートバンカーを雇う余裕もある。そしてドンドン資産を増やしていくし、子供にもうまく受け継いでいくことができる。これって何だか不公平にも感じてしまいますよね。じゃあそうじゃない人は一生お金持ちになれないのでしょうか?
本書では、1億円以下の資産の人にも応用できる海外の生命保険を利用した資産運用の具体的な方法などが様々なシュミレーション付きで書かれています。
■資産1000万円以下の場合の資産形成
資産を増やしていく段階では、現在の手持ちの額がいくらあるかによって打てる手が変わるのだとか。現在の資産額が1000万円以下の人を「資産形成層」と呼び、この段階ではまずは1000万円を目指すことが第一の目標になります。
といっても、リスクを取るよりは手堅く手持ちのお金を増やしていく方法を推奨。例えばビットコインをはじめとする仮想通貨がブームになっていますが、筆者はリスクの高いテンバガー銘柄(10倍になる銘柄)への株式投資や仮想通貨への投資を推奨していません。
これらは、余裕がある資金で行う分には良いけれど、余裕資金がない状況ではある程度見通しの立ちやすい方法で資産形成を目指したほうが良いという考え方です。
お金を増やすというと地道に貯金するしかイメージがない人はまだまだ多いはず。リスクがあって資金が目減りするかもしれないリスクのある「投資」はハードルが高く感じてしまいますよね。でも、考えてみれば私達の生活って何もしなくてもリスクはそこら辺に転がっています。
将来倒産する就職先を選んでしまう、無駄遣いの多い結婚相手を選んでしまう、自分が病気になって働けなくなる……何より、安全だと思って銀行に預けていたお金が、戦争が起きて返ってこなくなる可能性だってあるんですよね。
残念ながら、銀行に貯金しておけば安心という時代はもう終わってしまったと思っておいたほうが賢いのかもしれません。自己防衛策のひとつとして、貯金を銀行だけではなく他に分散させておくための知識を持っている人のほうがよほど安全かもしれないのです。
資産を増やしていくためには具体的には、3つの原則があると筆者はいいます。
第1の原則:分散効果を利用せよ。
第2の原則:税制のメリットを使う。
第3の原則:コストを最小限にする。
つみたてNISAの場合最大800万円まで非課税で投資できることや、手数料無料のネット証券会社の使い方など、普通に生活しているだけでは分からない情報を挙げながら投資の方法が解説されます。
結局のところ、株でも値上がりしそうな情報を予測できるのか、税制が有利になる情報を把握しているのかなど、情報を知っていることはお金を増やすうえで大変有利になるんですね。それらは、入手することがそれほど難しい情報ではありませんが、自ら動いて掴(つか)みにいかないと得られない情報でもあります。
ただ、まだまだ何も動いていなくて知識がない人のほうが多いので、今からでも動いたほうが有利になるということなんですね。
もっと具体的に詳しく知りたい方は本書を読んでいただくとして、おそらくこの本の一番の魅力は今現在お金を沢山持っていない人にとっても「まずは貯金をしよう」「投資をはじめてみよう」と思わせてくれる点にあります。
お金持ちがどのように資産を増やしているのか、普通の人と何が違うのか? ある程度の資産を持つことができれば、テコの原理でそこから一気に資産を増やすチャンスも増える……ということを知ることができると、毎月の貯金や投資への意欲も湧(わ)くかもしれません。
学校では、お金の増やし方やお金があるとどう楽しくなるのかということは教えてもらえませんでした。貯金が苦手だという人は、「何のために貯金をするのか意味が見いだせないから楽しくない」「貯めても使い方が分からないから面白くない」という人が多いように思います。
お金を増やしたくないわけではないけれど、目先のもっと楽しいことに流されてしまうんですよね。ですが、この本でお金持ちのお金の使い方に触れると「ある程度まとまったお金を持つと人生の選択肢が大きく増える」ということに気付くことができます。
読み終える頃には、「もともとのお金の額が多ければ多いほど、収穫できる利益が増える。だから、もっと投資に興味を持って種となるお金を増やしてみよう」という、お金に対してポジティブな思考にじんわり洗脳されるはず。
「まずは資産1000万円を目指してみよう」そんな風に思える本です。
- 電子あり
「え! こんな方法があったのか?」
ご関心のある方は、まず74~75ページの図をご覧下さい。海外にはこんな方法があるのです!
なぜ、日本の金持ちは、こぞってシンガポールで暮らすのか?
なぜ、日本の金持ちは海外で資産運用したがるのか?
なぜ、日本の金融機関では資産運用がしづらいのか?
こんな疑問をもったことはないでしょうか?
答えは簡単です。
シンガポールのような海外では、日本よりもはるかに巨額のリターンが得られる資産運用が可能だからです。だから日本の金持ちはシンガポールで暮らしたがるし、海外で資産運用をしがたるし、日本の金融機関に資産を預けたがらないのです。
日本で有数の「本物のプライベートバンカー」が伝授する、驚異の資産運用法から、日本の資産運用法の貧弱さまですべてを初めて明らかにします!
(本書より)
私たちプライベートバンカーの最も基本的な仕事は、顧客が自己の資産を防衛し、運用するためのソリューションをその顧客ごとに提供することにある。(略)多様かつハイレベルな要求に答えていくには当然ながら質・量ともに豊富な引き出しを用意しておかなくてはならないのだが、それをプライベートバンカーたちが実現していくにはメガバンク系・外資投資銀行系の区分に関係なく「日本の会社」に所属している限りは限界がある。世界的に見ても複雑で規制の多い日本の金融ルールに、従わざるをえないからだ。
ところが、同じ金融機関の一部門であっても海外法人のプライベートバンクや、文字通り私人銀行家である私にはその点で大きな強みがある。シンガポール・香港・スイス・モナコなどいくつもの金融大国に拠点を擁しているがゆえに、日本在住の顧客にルールに沿った形で海外のソリューションを提供できるのである。──本文より
レビュアー
20代のころは探偵業と飲食業に従事し、男女問題を見続けてきました。現在は女性向け媒体を中心に恋愛コラム、男性向け媒体では車のコラム、ワインの話などを書いています。ソムリエ資格持ちでお酒全般大好きなのですが、花粉症に備えて減酒&白砂糖抜き生活実践中。
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