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あなたの仕事はAIに奪われるか?「生存率51%」に入る意外な職種
(著:鈴木 貴博)
AIに仕事を奪われたとき、私たちはどうなるのか?
はたして、10年後自分の仕事はあるのだろうか──?
“生存率51% あなたは生き残る側?”という挑発的な帯キャッチコピーに思わずドキッとしながら読み始めたのですが、この本を前にして突きつけられたのは、「私はどうやったら生き残れるのか?」という自問自答でした。
──本書はこれから先、2025年から2050年くらいまでの近未来にAIとロボットの進化が引き起こすと言われている大規模な「テクノロジー失業」の問題を、経済学の立場で解説する本である。──
オックスフォード大学やマッキンゼー、多くの科学者や経済学者が今からそう遠くない未来、人間の仕事の50%から90%がAIとロボットに奪われて消滅するとすでに予測しているそうです。
なくなると予測されている仕事の例
・ドライバー
・デイトレーダー
・パラリーガル
・医者
・芸術家
・音楽プロデューサー
・ファッションモデル
・会計士、税理士
・ネイリスト
・郵便局員
・時計やカメラの修理工
・レストランの調理師
・レジ係
残ると予測されている仕事の例
・スーパーの店員
・食品加工場の従業員
・ホテルの客室係
・機械の保守担当の修理工
・建設作業員
・コンビニやマクドナルドの従業員
・パティシエ
ドライバーや受付など、現時点でもある程度想像がつく自動運転や自動受付に取って代わられる仕事はまだイメージがつきやすく、はじめは簡単な仕事ほど消えていくのかと思っていました。
ところがこれまで、その職業につくために大変な努力や才能が必要だった仕事や頭を使う専門家の仕事、研究者や画家、音楽プロデューサーなどの“クリエティブな仕事”ほど人間はAIに敵わない……という極めて皮肉な未来が予想されています。
さらには、進化したロボットに取って代わられた犬や猫などの"ペットも失業"する……と。
では、残る仕事は何か? 本書で予想されている"残る仕事"は「手と指を使う細かい仕事」だというのです。ロボットの進化の速度から考えていくと、人間の皮膚や指の感覚に近づくのはまだまだ難しいので、手を使う仕事が生き残るとされています。
しかし、医師の診断もそうですが、AIの診断では“思いやり” “人の暖かさ”を感じる人は少ないでしょう。そのようにプログラムすることはできたとしても、やはり受け手の気持ちとしては何かが違います。
今だって「完璧な栄養素で作られたカプセルだけ飲んでいれば大丈夫」と言われてもそれを選ぶ人が少ないように、人間が目の前で心を込めて作ってくれる料理にだけ感じられる“暖かみ”。
感情があり、いつかは死ぬからこそ命のありがたさを感じさせてくれるペットなど“ぬくもり”が重視されるものはロボットに置き換わるのは難しいように思います。
ただ、こう感じるのもあくまでも“2017年時点での感想”です。すでに、「ルンバ」などのロボット掃除機は私たちの生活に身近になりました。むかしは主流だった移動手段である馬が車に完全に置き換わったように、生活スタイルがガラッと変われば人間の感じ方も変わるでしょう。
かつてないスピードで目まぐるしく環境が動いていくなか、自分ならどうするのか? 何をすれば生き残っていけるのか? 人間の仕事がなくなった未来はどうなるのか?
この本の特長は、あくまでも“経済学の立場”で解決策を見出していく点にあります。
──「もし、仕事がなくなってしまうと、みんなが貧しくなってしまうのか?」──
世界中から“人間の”仕事はなくなったとしても、ロボットが働くことで産出される「財の総量」が変わらないとすると……?
ロボットを所有する会社だけが儲かるようになり、資本家である国民の1%が富裕層、49%は中間層、50%が貧困層となる不幸な未来が訪れる、と筆者は予想します。
では、そのみじめな未来を回避するためにはどうしたらいいのでしょうか?
2017年2月にあったインタビューでビル・ゲイツ氏が「ロボットの働きに対して税金を取ればいいのだ」という意見を出したそうですが、筆者はこのような解決策を出しています。
──原則1:すべてのAI/ロボットの利用権を国有化する、原則2:AI/ロボットの産業利用に関してはその働きが人間何人か分かを計測し、その仕事に応じた賃金を国に支払う。ただしAI/ロボットの家庭利用/私的利用については、特に賃金を支払う必要はない、原則3:AI/ロボットに支払われた給料はそのまま国民に配分する──
本書の楽しさは「ロボットに給料を払うなんてありえないだろう!」「人間よりも速く作業ができるロボットに対して、どうやってその働きを賃金に計算するのか?」など、自分なりの予想と照らし合わせながらツッコミを入れていく点にもあります。
代わりにロボットが働いてくれて、人間が遊んで暮らせるユートピアは訪れるのか?
GDPが変わらなければ、これまでと同じように経済は回るのか?
AIとロボットに仕事を奪われる前に抜け駆けをしたければ今からロボット株を買っておくべきなのか?
ロボットが農業をはじめたら、日本の農家は救済されるのか?
ロボット兵器やテロが起きたらどうなるのか?
これらの答えは、ぜひ実際にご自分の目で確認してみてください。今の日本に、漠然とした不安を抱いている人にこそ刺さる1冊です。
- 電子あり
生存率51%! あなたは生き残る側? どうすれば仕事が消滅しても人間は幸福か? いま最も必須の知識!
2025年 まずドライバーの仕事が消滅。金融ではAIファンドマネジャーが人間を駆逐
2030年 銀行員、裁判官、弁護士助手など専門的頭脳労働者がAIに換わる
2035年 経営者、中間管理職、研究者、クリエイターもAIに。サラリーマンは逆年功序列化する
ロボットは性能が上がっても、その数がボトルネックになるために仕事消滅についての人類の本当の敵にはならない。この本の読者の年齢が最年少でも15歳程度だとすれば、大半の読者の一生は、汎用タイプの人型ロボットによって仕事が消滅する危機からは無関係に終わることになる。
一方でAIは違う。人類を超える汎用的でかつ世界最高レベルの頭脳が開発されれば、それは数十分でデジタルコピーできる。
だから本当に心配すべきは肉体労働の仕事ではなく、頭脳労働の仕事だ。仕事消滅は2030年代以降、主に頭脳労働者の職場で起きることになるのだ。(本文より抜粋)
レビュアー
20代のころは探偵業と飲食業に従事し、男女問題を見続けてきました。現在は女性向け媒体を中心に恋愛コラム、男性向け媒体では車のコラム、ワインの話などを書いています。ソムリエ資格持ちでお酒全般大好きなのですが、花粉症に備えて減酒&白砂糖抜き生活実践中。
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