今日のおすすめ
思想犯として投獄された著者が、凄惨な経験を書き殴る!【女流文学賞受賞作】
(著:平林 たい子 解説:中沢 けい)
警部補がうっかり思想犯を取り逃がし、思想犯の妻たる著者に「前日から外出していたと口裏をあわせてくれ」と頼む場面が出てきます。本庁の人間に監査されているのです。このウソはバレて警部補は本庁へ連れていかれます。権力側と反権力の間の微妙な交流、共感なども描かれていて、やはり人間、どっちの側になるかは成り行きとタイミングなのかなと。(カラスヤ)
日本の敗戦を機に再びペンを執る自由を与えられた平林たい子が、留置所での凄絶な闘病生活の有様を、マグマが噴出するような勢いで書きつけた「こういう女」(第1回女流文学者賞受賞)「一人ゆく」「私は生きる」、プロレタリア作家としての地位を確立した初期代表作「施療室にて」の他、「うた日記」「野の歌」「鬼子母神」「人生実験」「人の命」を収録。
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。近刊に新書館『カラスヤサトシの孫子まるわかり』、講談社『カラスヤサトシ』9巻、リイド社『カラスヤサトシの戦国散歩』があります。
近居:こんなまとまった雹を見たのは初めてではないでしょうか。先週火曜日のことです。
関連記事
-
2017.07.16 レビュー
【名作発見】色と欲に翻弄される「大阪文学」の愉しみかた
『大阪文学名作選』編:富岡 多惠子 著:川端 康成,折口 信夫,宇野 浩二,武田 麟太郎,小野 十三郎,織田 作之助,山崎 豊子,庄野 潤三,河野 多惠子,野坂 昭如,阪田 寛夫
-
2017.06.25 レビュー
戦後の新宿・閻魔堂にあった、破滅と再生の強烈な光景とは?(金子光晴)
『風流尸解記』著:金子光晴
-
2017.03.26 レビュー
鉄道ファンの方ご存じ? 川端康成が書いた、岐阜駅「昇格」が謎すぎる
『非常/寒風/雪国抄 川端康成傑作短篇再発見』著:川端康成
-
2017.04.23 レビュー
【名作発見】火事の被害は、焼け残った「質屋の土蔵」でわかる?(永井龍男)
『一個・秋・その他』著:永井龍男
-
2017.07.09 レビュー
【名作発見】GHQに消された靖国神社「別格官幣」とは?──木山捷平最晩年の珠玉短編
『井伏鱒二・弥次郎兵衛・ななかまど』著:木山 捷平
人気記事
-
2024.03.12 レビュー
#皮膚の変態 都心のマンションが買えるほどコスメ自腹買い。ガチで良かった270品!
『「皮膚の変態」が本気で選んだ270品 悩みに「効く」コスメ』著:大野 真理子
-
2024.03.04 レビュー
あきらめるのはまだ早い! 精神医療界のオールスターによる心の病気の治し方
『心の病気はどう治す?』著:佐藤 光展
-
2024.03.08 レビュー
たった17音で伝わる世界。「ぼっち」の中学生が俳句をとおして新しい未来を切り拓く!
『17シーズン 巡るふたりの五七五』著:百舌 涼一
-
2024.02.29 レビュー
【久遠チョコレートの挑戦】目指すは社会貢献ブランドではなく、一流ブランド
『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』著:夏目 浩次
-
2024.03.05 レビュー
毎日本当に大変とお嘆きの方に贈る笑っちゃう絵本
『ひげが ながすぎる ねこ』著:北澤 平祐