今日のおすすめ
文豪だって人間関係で悩んでるんだ……文芸論集につまったイチャモンと別れ
他にも、かつての盟友田山花袋との決別、当時の文芸アイドル樋口一葉への反感、文芸サロンからの離脱など、なんと決別の多いこと。藤村の場合は人格的なものへの懐疑があったようですが、田山花袋などには明確に作品への批判があったみたいで。現代は人間関係の発展保存で世界が広がると思われる気がしますが、文学と決別してのちの柳田國男民俗学の大発展を考えると、決別こそが世界を広げる重要な過程なのかもなどと思いました。(カラスヤ)
笑い、恋、夢。庶民の暮しに日本人の心を発見する柳田文芸論の白眉28篇!
古来日本人が絶えることなく語り伝えた昔話や伝説は、笑い、歌、夢が咲き誇る肥沃な物語の土壌であった。詩人として、花袋、藤村等と近代文学の青春を共にしながらやがて彼等の批判者となった柳田は、好奇心や空想力を衰弱させた自然主義に反し、庶民の暮らしの中にこそ真の文芸があると説く。文芸に関わる主要論考、随筆から近代文学が捨象した豊穣な世界に詩的直感を以て分け入る28篇を精選。
レビュアー
![カラスヤサトシ イメージ](content/images/writer profile/NEWkarasuya.jpg)
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。近刊に新書館『カラスヤサトシの孫子まるわかり』、講談社『カラスヤサトシ』9巻、リイド社『カラスヤサトシの戦国散歩』があります。
近況:またも仕事部屋がカオス化してきました、なんとかしたいものです。
関連記事
-
2017.02.05 レビュー
“最底辺”からの脱出。他人を踏みつけてまで生きるという選択
『神の道化師・媒妁人』著:椎名麟三
-
2017.01.15 レビュー
【名作発見】大正期の高利貸しが不快すぎる件(室生犀星)
『深夜の人・結婚者の手記』著:室生犀星
-
2016.12.18 レビュー
【名作発見】戦争文学の金字塔! 一年間、子宮を出したままの犬がいた。
『原民喜戦後全小説』著:原民喜
-
2016.12.25 レビュー
大正期の“原爆ドーム”は、イルミネーション輝く最先端スポットだった!?
『原民喜戦後全小説』著:原民喜
-
2017.01.01 レビュー
貧乏作家、小津安二郎との三角関係を書く! 芸妓本人もキレたヤバい実話集
『泡/裸木 川崎長太郎花街小説集』著:川崎長太郎
人気記事
-
2024.06.28 レビュー
能登半島地震の悲劇を徹底取材──「政治の人災」を繰り返さないための防災マニュアル
『シン・防災論―「政治の人災」を繰り返さないための完全マニュアル』著:鈴木 哲夫
-
2024.06.26 レビュー
【衝撃の手記】ゴーン会長のもと、日産社長を務めた男はそのとき何を考えていたのか?
『わたしと日産 巨大自動車産業の光と影』著:西川 廣人
-
2024.07.01 レビュー
「趣味はダイエット、特技はリバウンド」という方へ! モチベーションアップのコツ
『にゃんこダイエット モチベーション ブック 一念発起×初志貫徹 痩せにゃいわけない辞典』編:ダイエット・モチベーション・クラブ
-
2024.06.30 レビュー
「弱いまま、強くなる」 MEGUMIさんが、美容を“やる”理由とは!?
『心に効く美容』著:MEGUMI
-
2024.06.24 レビュー
ホンモノ中華料理にアナタの肥えた舌を捧げよ!
『進撃の「ガチ中華」 中国を超えた? 激ウマ中華料理店・探訪記』著:近藤 大介