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「木版画」、そう言われてイメージするのは、インクの黒と紙の白で構成されたダイナミックな力強い絵、または「冨嶽三十六景」か、はたまた「東海道五十三次」か。伝統的な浮世絵の世界も木版画としてまた然り。そんな浮世絵の手法を取り入れて、あたたかくて新しい世界を作り出す木版画家の彦坂有紀さん・もりといずみさんの新作絵本『コロッケ できました』。木版画のコロッケ?と思われたあなたの版画のイメージが、大きく変わること間違いなし。「やわらかい」木版画の制作工程をのぞいてみてください。
木版画ができるまで
数種類の版で、1色ずつ摺りを重ねていく木版画は、そのときの気温や湿度、摺る人のセンスによって、仕上がりの風合いが微妙に変わっていきます。
① 彫る ※1点の絵につき版木を3~4枚彫る
② 面取り
③「 見当」を彫る
④ 刷毛で絵の具を伸ばす
⑤ グラデーションを作る
⑥ 和紙を置いて
⑦ばれんで摺る
⑧ 全ての版木で摺り重ねる
⑨こうして木版画絵本「コロッケ できました」ができあがりました
新刊『コロッケ できました』によせて 彦坂有紀さん、もりといずみさんから
<彦坂有紀さんより>
彦坂木版工房の木版画家。木版の素晴らしさを伝えるため展示会や木版のワークショップを行う。2012年に『パンと木版画』を自費出版。同年よりイラストレーターとしても活動をはじめ、広告や食品のパッケージ、雑貨のイラストなどで幅広く活動。絵本『パンどうぞ』は、2015年ボローニャ国際児童図書展「Books&Seeds」に選定された。ほかの作品に『パンどうぞ』『ケーキやけました』がある。
<もりといずみさんより>
よめばよむほどおなかの減る絵本が完成しました。絵本には、コロッケやえびフライなど、子どももおとなも大好きな食べ物がたくさん登場します。また絵本の終盤には、見開き2ページにわたってコロッケサンドを作るシーンがあるのですが、是非そのページを見ながら家族みんなで本物のコロッケサンドを作ってもらえると大変うれしいです。私たちの3冊目の絵本『コロッケ できました』をどうぞよろしくお願いします。
彦坂木版工房のプロデューサー。『パンと木版画』をはじめ、彦坂有紀の描いた木版を基に書籍、雑貨などあらゆるデザインや監修を行う。彦坂木版工房主催の展示会や「もくはんいち」などのイベントの企画もおこなう。
ワークショップいろいろ
『コロッケ できました』木版画展
●2016年11月3日~11月6日
彦坂木版工房の絵本展
●2016年11月30日~12月19日
『コロッケ できました』展
じゅーじゅーからあげは、マヨネーズをつけて、ぱくっ。じゅわじゅわハンバーグは、チーズをのせて、がぶっ。ぷりぷりエビフライは、タルタルソースをつけて、ぱくりっ。さあ、さくさくのコロッケは……? ページをめくれば、おなかがぐー。あっつあつのごちそうを、おなかいっぱいめしあがれ! おなかがすいてたまらなくなる、、おいしい木版画絵本。
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