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【MLB3000安打】イチローを支える奇跡の柔軟性。山本昌と同じ理論だった!

メジャーリーグでも過去29人しか達成していない3000安打を目前にしたマーリンズのイチロー選手、日本プロ野球史上初の50歳出場・登板を果たした元プロ野球選手の山本昌氏。偉業を成し遂げた彼らを支えたものの一つとして口にする「初動負荷理論」とは?

──イチローさんにとって初動負荷トレーニングとは、どんなものなのでしょう。

今の自分の体はもちろん、精神をも支えてくれている。



――ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、ニューヨーク・ヤンキースのフィジカルトレーナーが、イチローさんの体の柔軟性や、全般的な運動能力、そして選手生命の長さに興味をもたれた。それで初動負荷マシーンを体験され、チームにも導入されたそうですが、チームメイトのみなさんの反応や興味というのはどうでしょうか。

興味はもちますが、このマシーンを使うと、どのような効果があるのか、ということを理解しないで使っているので、なかなか続かないですし、本気で取り組まないように見えます。やはり、ベースになる知識というのはある程度必要で、知識があってマシーンを触るのと、ない状態でマシーンを触るのではその効果も大きく違ってくるのではないかと思います。


特に彼らは、体のサイズが大きくなったり、強くなっているという感覚を欲しがるんです。その種の人は物足りないと感じるようで、シーズン中に行うトレーニングのレベルでは体感しづらいので、そういう難しさはあります。メジャーリーガーも、日本のプロ野球選手も、みんなそうだと思いますが、一番うまい人間がそこに集まってきている集団なので、その脳味噌の中身を根本的に変えるということは、とても難しいでしょう。でも、そこから変えていかないと本当には理解できないと思います。


しかも、考え方として、初動負荷トレーニングは、一般的なトレーニングとは正反対の考え方なので、今までそれでやってきて一番の人が、反対のことを取り入れるというのは、何かきっかけがないと難しいでしょう。大きな怪我をしたというようなことがあれば変えやすいのでしょうが、うまくやっているように見える人たちに対しては、特に難しいと思います。

ですが、アメリカの球団の施設の中に、初動負荷トレーニングのマシーンが存在するという事実は、ものすごい進歩と言えるのではないかと思っています。


――イチローさんは、一九九九年、首位打者をとられたけれど、デッドボールで負傷してそのままシーズンを終えたオフに、小山先生と初動負荷トレーニングに出会われた。オリックスでチームメイトだった藤井康雄さんのご紹介ですよね。

一九九九年のオフに、実家を建て替えたのですが、そこに、ウェイトトレーニングのスペースが欲しくて、マシーンを置くスペースを作りました。そこにどんなマシーンを置こうかと思った時に、初動負荷トレーニングのマシーンの話を聞いていたので、置いてみようというのが最初でした。その時点では、トレーニングやマシーンに対する知識は何もありませんでした。


――使う前にですか? 良さそうだなという予感みたいなものがあったんでしょうか。

当時、(オリックスで)初動負荷トレーニングと言えば、藤井康雄さん、大島公一さん、中嶋聡さんの三人が中心だったのですが、彼らから話は聞いていましたし、三人とも滅茶苦茶なことを言う方たちではありませんでしたから……。それほど信頼はしていなかったものの(笑)、大きな疑問を抱くこともありませんでした。


――マシーンを設置され、やってみての印象というのは、違いが分かりましたか?

三日やったら、やみつきでしたね。長い時間、何かに取り組めるメンタリティを持っている人に対しては外さないと感じました。実感としては、(関節の)可動域が広がる。これに尽きますね。


通常のトレーニングの場合、運動をした後は血流が滞り筋肉が固くなってしまい、動きづらくなります。そして、回復するまでに時間がかかってしまい、結局、そういうトレーニングは、シーズン中にはできないもの、となってしまいます。


やればやるほど体が柔らかくなり、やればやるほど動きが良くなっていくというトレーニングに、それまで出会ったことはありませんでした。求めてはいたけれど、そんなものは存在しないと思っていたものが、実際に存在した、という感覚です。


それまで、オフの間はハードなトレーニングをし、体を作ったつもりでいましたが、シーズンが始まると、そんなトレーニングは続けられない。そういう筋肥大が顕著に見られるトレーニングというのは、続けられたとしても、体は大きくなっているのに、体の大きさや強さの感覚とは反比例して、パフォーマンスやバットスピードは落ち、動きが悪くなっていきます。


それが、シーズンに入ってそういったトレーニングができなくなると、だんだん痩せていき、体が元のサイズに戻っていきます。そうすると、パフォーマンスがあがり、バットスピードがあがる。これはおかしな話ですよね。


トレーニングとパフォーマンスというものは基本的には一致しないとやる意味がないわけですから。ですが、この初動負荷トレーニングは、それを完全に表現していると思います。

(*全て本文から抜粋)

2016.07.22
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初動負荷トレーニングとは?

関節の可動域を広げ、しなやかな体作りをすることを目的としたトレーニング。独自のマシーンを使用するトレーニングは、従来のウエイトトレーニングに比べ負荷が非常に軽いため、高齢者や体に麻痺などの機能障害がある人でも動かすことができる。柔軟性の高い体を作り、アンチエイジングへの効果も高い、とされている。

代表的な初動負荷カムマシーン

  • スキャプラー

    スキャプラー

    肩甲骨と鎖骨の連動運動

  • ヒップジョイント

    ヒップジョイント

    股関節の屈曲運動

  • バックスウィング

    バックスウィング

    骨盤・股関節の伸展運動

  • クラビクル

    クラビクル

    鎖骨の伸展と屈曲

トレーニング実践者の“希望の声”

「僕、今、日本のプロ野球の選手になった全ての人の中で僕が一番幸せなんじゃないのかなと思っています。」(山本昌/元プロ野球選手)

「初動負荷トレーニングをやって、もうちょっと高望みできるようにやろうとは思えるようになったね。」(青木功/プロゴルファー)

「初動負荷トレーニングができる環境か、どうか。この先も、もし場所が変わることがあるとしたら、まっさきにそのことを考えるでしょう。」 (イチロー/米メジャーリーガー)

*全て本文から抜粋

『希望のトレーニング』

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小山裕史の「初動負荷理論」関連書籍

小山 裕史

1956年生まれ 早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了 博士(人間科学) (株)ワールドウイングエンタープライズ代表

『小山裕史のウォーキング革命 初動負荷理論で考える歩き方と靴』

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『希望のトレーニング』書影
編:講談社 監修:小山裕史

なぜ、彼らは衰えないのか! なぜ、あの人は復活できたのか。レジェンドアスリートたちが実践する初動負荷トレーニング。イチロー、山本昌、岩瀬仁紀、青木功らアスリート、医師やリハビリ患者、高齢者、そして初動負荷理論の提唱者、小山裕史が、自分の人生を交えながら、初動負荷トレーニングとそこで見つけた「希望」について語り下ろすインタビュー集。初動負荷理論とは何かをもっとも良く理解できる本。

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