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大マジメなのに何かがズレている……! 本気なのに「ざんねん」な乗り物たち

ざんねんなのりもの事典
(編:講談社ビーシー)
2024.09.19
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子どもたちの興奮は乗り物にあり!

「きゅーきゅーしゃ!」「でんしゃ、バイバーイ!」「ひこうき!」
1歳半を過ぎた娘は日に日に言葉が増え、乗り物を見つけると興奮して教えてくれます。
保育園の同じクラスにいる男の子はさらに上級者で、図鑑の車を指差して車種を教えてくれました。

乗り物ってこんな小さな子どもから魅了させてすごい……!

当たり前ですが、乗り物は人間が作り出した物で、そこには製作者たちの夢と希望が詰め込まれています。もっと速く、もっと快適に、もっと便利に……! そんな想いが大きすぎて、世の中には「クセ」が強くなりすぎた乗り物たちも、実はたくさんあるんです。

私たちが知らなかった“クセつよ”な乗り物を紹介してくれる『ざんねんなのりもの事典』が2024年8月26日に発売されました。その数なんと全70種類! 知ってるものから、何これ⁉とマニアックな乗り物まで集結。製造された背景から実用後の顛末までが軽快な文章でまとめられており、ついつい読み込んでしまう1冊となっています。

思わず突っ込みたくなる意外な事実たち

例えば冒頭で紹介されているのは「コンコルド旅客機」。残念度は星3つ。



速さを追求した旅客機ですが、その速さを実現するためには長い滑走路が必要だそうです。さらに排ガスを撒き散らしエンジンの騒音もヒドイということで、エコを推進する昨今の真逆な乗り物となってしまいました。なるほどー! 残念!
でも「マッハ2.2 の超高速飛行機」という響きは最高にワクワクさせてくれますよね!

全70種類の乗り物たちは5つの章に分類されて紹介されていますが、このそれぞれの章名もまた辛辣なこと! しかし、どれも興味をそそります。

PART1. 出過ぎた杭は打たれまくった!?
PART2. 生まれたときから、ざんねん
PART3. 本気なのに、ざんねん
PART4. あまりに狭い、彼らの居場所
PART5. 時代に置いていかれたものたち

特に私が「何これー!」とニヤッとしてしまったのが「ジョイフルトレイン」でした。
時代に置いていかれ、残念度が星2つのこの列車。団体列車という存在があったことを初めて知りました。



確かにバブル期の匂いがプンプンとする乗り物ですが、そのレトロさと昨今のインバウンド需要で観光用として復活したら人気が出るのでは?と妄想が広がります。畳敷きの客室を見てみたい!

雑学は会話を産み、コミュニケーションを増やす

「馬鹿な子ほど可愛い」と言うことわざがあるように、「ざんねん」と言われる由縁を知ることでその乗り物に愛着が湧いてくるから不思議です。新幹線や飛行機、宇宙船といった「優等生」だと思っていた乗り物の別の一面を知ったからでしょうか。

きっと、子どもがいるご家庭では、この珍しい形をした乗り物の数々に、子どもたちが「これ何──!?」と興味津々で声をかけてくることでしょう。「どうしてこれは残念なの?」という会話をきっかけに、ぜひ親子で盛り上がってください。

そして、紹介されている乗り物には、いまだ現役で運行している乗り物もあります。いつか機会があれば乗りに行く計画を立てるのも楽しそう! 個人的には、都内にある飛鳥山の「アスカルゴ」が気になっています!



読めばちょっと人に自慢したくなる、そんな雑学が詰まった乗り物事典。
あ、娘ちゃん。今あなたが遊んでる二階建てバスのミニカーだけどね、これって日本では走れないんだってよ! いつか本物に乗りにイギリスへ行ける日がくるといいね!

  • 電子あり
『ざんねんなのりもの事典』書影
編:講談社ビーシー

【これは失敗作? いやいや、ちょっと「ざんねん」なだけ】
この本に登場する「ざんねんなのりもの」は不出来な乗り物というわけではありません。多くは、すぐれた性能や将来性を持っていたのに、時代のニーズや期待などからズレてしまい、十分な活躍ができなかった乗り物たちです。乗り物好きならワクワクする超音速旅客機コンコルド、500系新幹線、スペースシャトルなども、期待が大きかったゆえに、かえって残念な面が目立つのりものとなってしまっています。

【どこか人間の生き方にも通じる? 「人間くさい」のりものたち】
「ざんねん」な乗り物たちは、残念になってしまった理由もまたいろいろです。壊れやすくほとんど稼働していなかったり、作るのにお金がかかりすぎて利用料金が割高だったり、利用するのがとても不便だったり……。作り手は大マジメなはずなのに、どこか上手くいかない乗り物たち……、そんな哀愁あふれる姿は私たち人間の生き方にも似ている部分があります。

【ざんねん……だけど、応援したくなるのりものたち】
「ざんねんなのりもの」は、そうなりたくて生み出されたわけではありません。もともとは世の中や利用する人々が便利なれば……、そう思って生み出された乗り物です。本書では、思うような姿になりきれなかった乗り物たちを、開発した技術者や利用者の思いを汲みつつ紹介します。本書を読めば、「ざんねんなのりもの」たちも応援したくなる乗り物に思えてくるはず。

■Contents■
【PART1】出過ぎた杭は打たれまくった!?
コンコルド旅客機/JR西日本500系新幹線/2階建てバス「ルートマスター」/南海電鉄50000系「ラピート」/広島電鉄5000系「グリーンムーバー」/双腕建機「ASTACO」/エアバスA380ほか

【PART2】生まれたときから、ざんねん
JR東海300系新幹線/桃花台新交通/MH2000/185系特急形電車/愛知高速交通(リニモ)/小田急70000形GSE/おおすみ型輸送艦/F-2支援戦闘機/ドリームランドモノレールほか

【PART3】本気なのに、ざんねん
三菱スペースジェット/飛鳥II/ジェットフォイル/JR北海道キハ285系/芦ノ湖の海賊船/ホンダジェット/しんかい6500/おがさわら丸/スペースシャトルほか

【PART4】あまりにも狭い、彼らの居場所
90式戦車/50m級はしご車/連節バス/JR西日本285系サンライズ/水陸両用バスほか

【PART5】時代に置いていかれた
24系寝台客車などの「ブルートレイン」/ジョイフルトレイン/上野動物園のモノレール/ロイヤルウイング/YS-11/馬車鉄道ほか

レビュアー

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Micha

ライター。フリーランスで働く一児の母。特にマンガに関する記事を多く執筆。Instagramでは見やすさにこだわった画像でマンガを紹介。普段マンガを読まない人にも「コレ気になる!」を届けていきます!
X(旧Twitter):@Micha_manga 
Instagram:@manga_sommelier 

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