可能性としては限りなくゼロに近いのに、なぜかワクワクしてしまうシチュエーション、それはイケメンの家庭教師と2人きりで過ごすこと。
その家庭教師が同じ高校に通う、誰もが憧れる先輩だとしたら、さぞかしバラ色の毎日なのではないでしょうか。
そんな女の子の夢と理想が『センセイは高校生』には、いっぱい詰まっています。
高校受験を控えた平良希(たいら のぞみ)は、母親の知り合いの息子である稲嶺智也(いなみね ともや)に勉強を教わっているのですが、まったく身が入りません。智也があまりにも素敵すぎて!!
智也を表現する言葉として出てきたのは、「骨ばってて大きい手」「鼻すじのとおったキレイな横顔」「フワフワな髪の毛」「キレイな首すじ」「おちついた声」。
もうこの段階で、むふふとニヤケてしまいます。
女の子って何気ない話をしながら、実はこういうところを細かくチェックしているのですよね。
智也との初デートでわかったのは、私服がカッコいい、卓球がうまい、ローラースケートがうまい、バッティングセンターでホームランをかっ飛ばすほどスポーツ万能。もちろん頭も良くて教え方もうまい。
こんな智也と同じ高校に行くためなら、誰だって死に物狂いで勉強するでしょう。
希も補欠ですが、智也と同じ講談南高校に入学します。その入学式で在校生代表として登壇したのは、
この状況、私は中学時代に経験した“あるある” です。
そもそも学校行事で代表に選ばれるということは、頭がいいだけでなくリーダーシップもあり、教師の受けもいいということ。
つまり智也は、完全無欠のミスター・パーフェクト君なのです。
これは絶対に恋のライバルが登場するぞ!! 家庭教師を卒業した智也に、希はどうやって接近するの? と思ったら、「おかえり」と家で出迎えてくれたのは智也でした。
実は希は、中3の時にも振られているのです。
それでも、めげない真っ直ぐな希が、めちゃくちゃ可愛い!!
「先生のことあきらめませんから」「先生のこと好きにさせてみせます」「好きになってもらえる素敵な女性になります」「あたし先生の生徒で本当に幸せです!!」
こんな好き好き好きを前面に出してこられたら、気持ちが傾いてもおかしくないんじゃない? どうなの智也。と同級生気分で希を応援したくなりました。
その上、希はとってもいい子なのです。いい子を通り越して、お人好しと言ってもいいかもしれません。
なぜなら、同級生の前宮美奈も一緒に勉強を見てほしいと智也に頼みこんだからです。
私だったら絶対にやりません、智也と美奈が急接近したら困るので。
むしろ、“私の智也センセイに絶対に手を出すな” と無言の圧力をかけます(笑)。火種は初期消化ではなく、作らないに限る!!
だから、友達思いで純粋な希が、天使に見えてきました。
でもまぁ、智也もなかなかの奴です。ところどころ、思わせぶりな態度を取るのです。極め付けはコレ!
読んでるこっちも赤面するわ~!!
こういう思わせぶり男子は、少女漫画の王道といえば王道ですが、ドSというほどオレ様ではなく、温かみのあるところが “智也センセイ” の魅力でもあります。
私自身、気づけば智也、智也ですが(笑)、それぐらい理想のカテキョ像を見せてくれるので、恋がしたいわ~という人には、特にオススメしたいです!
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp