孤独な2人の「必然」の2人暮らし
無骨で荒(すさ)んだ空気感に鋭い目つき……まるでのら犬のような“壱村冬至”は、「誰もが知る」ある事情から周囲の人からはいつも遠巻きにされ、未来に感じるのは閉塞感ばかり。
まるで天使のような透明感と可愛らしさを持つ“夏目咲夜”は、ある天才的な能力の持ち主。だけどそのぶんだけの生きづらさも抱えている。
のら犬、天使に出会う
事件のせいで定職につけず、借りた部屋からも追い出されそうな20歳の冬至にとって、節目のはずの成人の日も「ただの1日」にすぎない。
そんな中、客と店員のトラブルに巻き込まれた冬至と“天使”は、連携してその場を収めたのだけど……。
いろいろ複雑な思いがありつつも、冬至はここに住まざるを得ない状況に。陽キャ軍団がすでに退去していたのはラッキーだけど、当面は「天使」こと“夏目咲夜”との2人暮らしになることに冬至は戸惑う。
咲夜は「カメラアイ」という特殊能力を備えた、いわゆる「ギフテッド」。
潤いだす心
たとえば、男女の同居につきものの「入浴中にバッタリ」もそのひとつ。
「見られる」のが男性である冬至側であること、そして咲夜の「カメラアイ」という能力が、冬至との圧倒的な体格差を脳裏に焼き付けるための「機能」として働いていること。
「大雨の夜、停電の部屋に2人きり」のシチュエーションもそうだ。
渇いた日々を送っていた冬至の心が動く瞬間には、いつもそこに「水」があるのもなんだかいいなと思うのだ。
日々の生活に疲れ、心がささくれ立っている人にこそ読んでほしい。不器用な2人が作る「帰る場所」は、読む人の心も優しく迎えてくれるはずだ。







