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2019.10.26

レビュー

カタブツ風紀委員=実は「ポンコツ」に目をつけられてしまった問題児ギャル

問題児と風紀委員は、わかりあえるのか?

「校則」こそなくなったけれど、「常識的な範囲で」といった概念でうまーく丸めて運用している事柄は大人になってからひたすら増え続けている。だからなのか、最近になって校則違反をしていた子達の気持ちが少しわかるようになった。



いいぞ。規約のスキを突いていけ!

で、「ダメですよ!」と取り締まる側の実直さも今なら愛しい。


彼のような風紀委員が私の学校に存在していたかどうかすら記憶にないのだけど(もし存在していたならごめんなさい、あなたは影のガーディアンだったんだよ)、彼らは悪いことをしていないのに「ウゼえ」と煙たがられる立場だったわけで。なんで引き受けてくれるんだろう……。

大人になるのを待たずに、できれば卒業する前に、彼らがわかりあえる日が訪れるといいなあ、と思う。

『ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJK』はそんな夢が叶うコメディだ。実直な風紀委員と強気なJKがとある高校でバシバシやりあう価値観vs.価値観なお話なのだけど、なんだか居心地がいい。

風紀委員だけど勉強は……!

主人公の“小日向さん”はギャル。髪の毛を明るくし、ミニスカートを履き、制服の上にダボっと大きなパーカーを羽織るようなオシャレな女の子。ダボっとした服から伸びる華奢な足がかわいい。



学校を破壊するようなワルではないけれど、授業をサボって居残り補習の対象者になるくらいには不真面目。この日の補習はどうやら小日向さん1人のようで、このことからも小日向さんの学校でのポジションがよくわかる。それなりの問題児。ところが、そんな補習の教室に“もう1人”が現れるのだ。



風紀委員の“桜大門くん”。毎朝ガミガミと小日向さんとバトルを繰り広げる宿敵。桜大門くん、授業とか絶対サボらなさそうなのに……そう、「サボりじゃない理由」で彼はここに呼び出されているのだ。



小日向さんも事の異常さに気がついた模様。「バカなの!?」と。ギャル容赦なし。で、実際に補習のプリントを解き始めると、桜大門くんは汗をダラダラ流して息すら荒いのに、なんかもう全っ然進まないんですよ。ウザい宿敵である風紀委員の思わぬ弱点を見つけた小日向さんは……!



「あんたって相当バカ?」と核心を突くのだけども、相手の反応がガチすぎて若干引き気味。小日向さんは、バカがつくほど真面目で実際バカな桜大門くんをバカにすることができなくなり、数学の解き方を教えることに。いいやつ。ここのやりとりがすごく優しくて好きだ。ぱっと見だけじゃわからない「意外性」をみんな持っていることをさりげなく描いている。



なんで桜大門くんがガミガミとスカート丈のことを言うのかというと、「小日向さんが悪い」からじゃなくて、小日向さんのことを彼なりに心配しているから。しかもこの褒め言葉。私は小日向さんが校則をハックしてミニスカを謳歌することに大賛成ではあるけれど、桜大門くんの「相手のいいところを躊躇なく褒める」姿にグッとくる。

この日を境に2人の関係は少しずつ変わる。



ただの対立ではなく、賑やかで楽しい学校生活になるんです。うらやましいな。

意外性がいっぱい

本作の登場人物はみんな意外性を持っている。風紀委員なのに“ポンコツ”な桜大門くんと同じくらい強烈な生徒ばかりだ。



とにかくガラの悪い保健委員・出渕くん。



イケメンポエティック図書委員・月島くん。全員「実は……」を持っていてめちゃ面白い。



そして、もちろん問題児・小日向さんにも「実は……」が沢山あって、知れば知るほどかわいいなあと思う。小日向さんが大赤面する事情については、実際に読んで確かめてください。彼女の名前を「似合っていますよ」とステキに褒める桜大門くんのことがすごく好きになると思います。

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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