会議中に思い出すと困る「神回」
小説も映画もマンガも「おもしろい」と思ってから時間がたつと少しずつ詳細を忘れてしまう。ただ「神回」と呼ばれるものは別で、しばらく経ってからも解像度高めの状態で頭に急浮上する。歓迎したいが、脈絡がなさすぎる上に急浮上の瞬間を自分で選べないので困る。『あらくれお嬢様はもんもんしている』にも大変困っている。だってこんな絵だし。
白昼の会議室で真面目な顔してスライドを睨んでいる最中に「おらよッ!!」が4K放送ばりの鮮明さで再生されるこっちの身にもなってほしい。キレの良いお色気攻防戦が毎話繰り広げられるので、しょうがないなあって思うんですが。ほんと大変。
性に目覚めたお嬢様vs.おカタい風紀委員
ヒロインの“口無椿(くちなしつばき)”は名門私立校に通うお嬢様。
まず強烈なお胸に目がいくんですが、それだけじゃなく学校の理事長の孫娘で、女子バレーのエースで、女生徒からキャーキャー慕われるタイプの高身長美人。人呼んで“超男嫌い 王子”。そんな向かうところ敵なしの口無さんに目障りな人物が。
風紀委員の“起立匡史(きりつただし)” です。名前、メガネ、眉毛、腕章、フルで規律正しさを体現する男。口無さんにも臆することなく高圧的に注意をします。で、口無さんは「うざいなー」と思うわけです。成績も自分より上だし。とにかく目障り。なんか気になる。気になりすぎて、なんでか卑猥な妄想にふけってしまい、ついには「起立匡史を退学させる」作戦に出ることに。
起立匡史のわいせつ現場をおさえて退学に追い込む……という流れです。そのために体当たりで色仕掛けをかまします。で、これがことごとく失敗するんですよね。
たとえば片乳を起立匡史の腕によっこいしょとのせる作戦。
起立匡史よりも先に仕掛けた側の口無さんが「ビクン」となって、
起立匡史は「ピピー」と笛で威嚇します。しかも「すごく邪魔」と怒るし。全然響いてない。めげない口無さんは、こうなりゃどうにでもなれと言わんばかりに自らブチィっとシャツを引きちぎります。
胸がブリンブリン。どうなる起立匡史。
いいやつ!! しかもソーイングセットまで持ってる。かわいい。こうして口無さんの巨乳大作戦は、ただ口無さんがドキドキもんもんするだけで終了しました。起立匡史マジで風紀が整ってる。
なにがなんでも指一本触れない
毎話とにかく起立匡史の鉄の抵抗ぶりが清々しい。これが楽しみで読んでしまう。
「私のスカートがどう良くないか言ってごらんなさい?」と煽りに煽るミニスカ大作戦も失敗。
必殺わざとびしょ濡れ作戦も失敗。うまいこと言う余裕まである。
負けじとお色気作戦をアップグレードしていく口無さん。
口無さんに触れないためなら石膏だってフル活用……口無さん、ハートが強すぎるし善戦っていうかヒートアップしてると思うんだけどなあ。相手が強すぎる。そんな起立匡史にも弱点があるようです。口無さんとの攻防に大笑いしつつ探してみてください。
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レビュアー
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。