講談社ラノベ文庫6月刊のラインナップを一挙ご紹介! 校了を担当する2人の秘密コメントをチェックしよう!!
講談社ラノベ文庫編集長(であるらしい)。月刊少年マガジンに約20年在籍後ラノベ文庫へ異動し現在に到る。頭の中身は自称永遠の17歳だが頭の外側は……!?という、ドラえもんのいないのび太、みたいな感じのおっさん。編集者としてのモットーは「相手の技は必ず受けろ!」、身につけたい能力は「速読」、異世界に行ったら「蕎麦屋」をやりたい。一度言ってみたい台詞は「どうしたんだ、顔が赤いぞ。熱でもあるのか!?」
講談社ラノベ文庫編集部校了担当者。またの名を金剛寺大三郎。軍手とガムテと段ボールが似合うナイス・ガイ。講談社ラノベ文庫の新刊を責任持って校了してますが、やたらフセンをいっぱい貼って返してくるのでうっとおしいみたい。「笑ったとこにいちいち『(笑)』っていうフセン貼ってくんの、どうなんすか」(編集部員・談)
決戦前夜だ! ツイスター万歳!!
世界を闇に呑み込まんとする“終焉”のアンゴルモア。悠たちはノインの光で対抗するが、あと一歩でイリスが倒れてしまう。ヴリトラによれば、その力は星の寿命を縮めるほどのものであり、光源たるイリスは消滅してしまうかもしれない。悠たちは世界中の人々に呼びかけることで負担軽減をはかる。そして決戦前夜。イリスの提案で、皆で遊ぶ悠たち。そこに生まれたものはきっと、たくさんの輝きに彩られた、虹色の欠片たちで──。
「明日地球が滅びます(キリッ)」みたいなことを、突然言われたら、みなさんはどうしますか? 自分だったらそうだなぁ……「あれもやりたい、これもやっときゃよかったorz」なんて悶々と考えたあげく、1日が過ぎてしまって最後に見た光景が巨大隕石が近づいてくる様子で……なんてことになりそうな気がします。変わったことなんてなんにもできそうにないのでせっかくだから、いつもと変わらない日常を繰り返したいなあ、なんて思いますね。
さて、この巻では、戦艦ナグルファルが、アンゴルモアとの最終決戦を前に立ち寄った島でのお話です。地球を守るための最終決戦を目前にしたブリュンヒルデ教室のみなさんが、明日をも知れぬ戦いを前にしてさまざまな形で、残された思いを遂げようとしています。悲壮感に満ちていても当然なのですが、そこは物部悠くんに思いを寄せる彼女たちだからこそ、「もしかしたら最後の最後」かもしれない瞬間にも、悠くんへのアクションを起こしていきます。静謐な決意に満ちているからこそ、あるいは悲壮感を超えた何かが、ドラマのなかに満ちているのかな……とも思います。
そうだ、自分もこの、手足で床の◯を押さえる某ゲーム、やったことないなあ。ぜひやってみたいぞ(もちろんお相手は美少女か美熟女限定)。ああ、こんなワクテカな無理ゲーを絶対地球最後の日までには体験してみたいもんです。個人的な一押しのフィリルちゃんも、彼女らしい行動で悠くんを喜ばせてくれておりますよ。ブリトラちゃんもどんどん普通の女の子っぽくなってきていい感じになってます(少女漫画がお気に入りなんですね)キーリの心模様にせまる描写もとても染み入りました……彼女が巻末で残したセリフ、わたし、気になります!!
高校生のレールを踏み外すために、もどってきたのよ
桜舞う4月に、石崎海が出会ったひと、前田きらら……いつもクラスの中心で、華やかなものすべてに包まれているかのようなとびきりの美少女。しかし彼女には“秘密”と“枷”と“婚約者”がいた! 偶然からきららと一緒にいるようになった海は、ほどなく秘密を打ち明けられる──「私は決死の覚悟で、この時間に戻ってきたの……あの時選択しなかった運命を、選択するために──」鮮やかな季節を瑞々しい感性で描く青春譚登場!
ラノベチャレンジカップ出身、清水苺最新シリーズの開幕でございます。問答無用のセンシティヴな作品だと申し上げておきます。作品の略称は『ないない』か『ありない』だと思ったら『おわ春』だそうです。これが『あらない』だったら村上春樹ファンが間違って寄ってきそうだが、そんなことはあらない。 政略結婚に抗うため、高校1年からやり直すべくタイムリープしてきた……と自称する女。決められた未来がある人を好きになった男。どす黒さの向こうにある悲しみ。来ましたね来ましたね、キュンキュン胸に。 舞台は東京・神楽坂。いいですよね、神楽坂。お高くとまりやがってね。そんなことはありません。そんでみんなして由比ヶ浜に行っちゃったりもします。いいですよね、由比ヶ浜。ひとりで行くとこじゃあねえけど。なんか、カリカリしますよ。そう、この父親!
「その手の中にあるぬいぐるみはなんだ、ごみか? 私が捨てておこう」
なんと、プレゼントにあげたぬいぐるみをふんだくって捨ててしまおうとします。プライズ系ハード・ゲーマーの大ちゃんとしては許せません。魔王に抹殺してもらいます。魔王は出てきません。なんだよ。
大人の事情を振り切って、さあ逃げよう。地平線の向こうまで。小さな恋のメロディ。ううーっ。物語のラストはスカッとした笑顔できまりです。 いいですよねえ。
ケッコン(仮)状態の耕介はどうなる?
屋敷に集まった愛羽たちに、耕介との結婚の事実を伝えた伊吹。動揺を隠せない少女たちに、伊吹は猶予を与えるかのように告げる。自らが身を引く条件。それは、彼女たちが耕介に告白して想いを伝えること。一方で、告白に失敗した際は──二度と耕介に近づかないこと。天姉、シャルテ、紫月、そして愛羽。最後のチャンスと、課せられたリミットに、彼女たちは何を想い、どう振る舞うのか──!?
「だって育野は、私の大切な……」
周りの女子がこんなにいいコばかりだったら、どんなに好いだろう……と思いつつシリーズを読み続けてもう9巻目となりました。ついに伊吹が耕介との結婚を宣言したわけですが、期限を前に伊吹が他の女子のみなさんに猶予を与えるわけですね。そこでシャルテや紫月に天ねえも決意の行動を起こしていくことになるわけですが、みんなの心のうちを思うとほんとに切なく泣けてきます。一度好きって思ったら、いつかは終わりがやってくる──恋愛とかの必然なのでしょう、好きと思わなければ、自覚していなければ永遠に続くかもしれない。男女間に友情はありえない、という言説、たしかにごもっともなわけです。
ですがこの「ビッチヒロインズ」(ビッチじゃないけど)、みなさんきちんと覚悟を固めて耕介くんに挑んでいくんですね……恋愛とかの美しさ(よそから見た場合)ていうのはその「叶わない」ところにあるものなんだなあと、改めて感じいりました。
この巻では冒頭で耕介自身が語るように、耕介でなくヒロインのみなさんの視点で物語が進んでいきます。なかなかフォーカスがあてられなかった、オキニの女子の心の内のさざなみ、みたいなものをぜひ見届けて欲しい! やっぱり愛沢さん気になるなあ……意外な形で伊吹の挑戦を受けとめた愛沢さん、どうするつもりなんだろう……ということが気になったみなさんはぜひ一刻も早くお買い求めください!
でもいちばんこころが泣いているのは、やっぱり◯◯だろうなあ……。
金属製悪魔による大災害に倫理規則は通用するか!?
10年前の世界同時大災害で家族を失った少年・大橋タカヤは、ある日、機械仕掛けの化物と遭遇する。現れた2人の少女が化物と戦うが、2人ともピンチに陥ってしまう。そのときタカヤの力が覚醒し、化物を撃退した。戦闘後タカヤは、大災害が、実は人類に反旗を翻したAIによる侵略だったと知らされる。そして2人の少女は愛華と美帆といい、虚数兵器デイブレイクを用いて機械仕掛けの悪魔──メカニクスと戦う存在らしく……!?
突然ですが、クラークとアシモフ、どっちが好き? 大ちゃん、モフモフのほうが好きです。華麗にスルーだ。日本ではクラークかブラッドベリかって二者択一のほうが多かった感じですが、欧米ではアシモフなんですってよ。SFのお話です。本作、そのモフモフじゃなくてアシモフのいわゆるロボット3原則が出てきちゃったりします。進化したAI/人工知能に3原則は適用されんのか。超AIがなんらかの意図を持って暴走する。これに対抗できる特殊な人間は世界に8人のみ。 その8人には入ってない普通市民のサブ・ヒロインは、ある力でもってグイグイ食い込みます。お父さんから習ったハッキング技術! AIもソフトで動いてんなら、ハックできんの? やだ、なにそれこわい。その子がいい味出してんのよ。
一方、こちらメイン・ヒロインのセリフです。
「でもみんな、わたしの顔とか、スタイルとか、そういうのが好きなだけ。わたしのことが本当に好きって人には、会ったことがない」
示唆に富む発言です。大ちゃん、思わず「マスク婚活パーティー」を想起いたしました。参加者が獣神ライガーとかストロング・マシンのマスクかぶって集団お見合いして、「おいっ、人間は顔じゃねえぞ、人柄よく見とけオラ、えーっ!!」というパーティーです。たぶん違います。このヒロイン、実は××××だった───っ。げ──っ。
『フェイトフル・モーメンツ』『終末世界のスペルブレイカー』でおなじみ高橋びすい新シリーズ。あれこれ示唆に富みながら、どうするどうなる的面白さでさくさく行きます!!