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2017.05.06

特集

アニメ放送中『クロプラ』著者による新シリーズ始動! 新作ラノベ一挙紹介

講談社ラノベ文庫5月刊のラインナップを一挙ご紹介! アニメ絶賛放送中の『クロックワーク・プラネット』著者の暇奈椿新シリーズに、榊一郎が贈る完全新作など注目作品が目白押しです! 校了を担当する2人の秘密コメントをチェックしよう!!

イノヤス

講談社ラノベ文庫編集長(であるらしい)。月刊少年マガジンに約20年在籍後ラノベ文庫へ異動し現在に到る。頭の中身は自称永遠の17歳だが頭の外側は……!?という、ドラえもんのいないのび太、みたいな感じのおっさん。編集者としてのモットーは「相手の技は必ず受けろ!」、身につけたい能力は「速読」、異世界に行ったら「蕎麦屋」をやりたい。一度言ってみたい台詞は「どうしたんだ、顔が赤いぞ。熱でもあるのか!?」

大ちゃん

講談社ラノベ文庫編集部校了担当者。またの名を金剛寺大三郎。軍手とガムテと段ボールが似合うナイス・ガイ。講談社ラノベ文庫の新刊を責任持って校了してますが、やたらフセンをいっぱい貼って返してくるのでうっとおしいみたい。「笑ったとこにいちいち『(笑)』っていうフセン貼ってくんの、どうなんすか」(編集部員・談)

「普通」って実は最高難度ポジションでは!?

『パラミリタリ・カンパニー 萌える侵略者』書影
著:榊一郎 イラスト:足立慎吾

「地球は、狙われている」遙かなる太古より地球は数々の生命体に狙われていた。その地球を救うための組織は、今、司令官不在という未曾有の危機に陥っていた……。主人公・阿倍野晴克は「普通」に憧れている極貧高校生だった。しかし突如現れた自称・姉によって晴克は拉致・監禁されてしまう。どうやら地球を守る運命は、この極貧高校生に託されたのだ! とんでもない侵略者たちから地球を守れ!

イノヤスコメント

『アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者』の榊一郎先生の新シリーズが、『アウトブレイク~』の完結巻に先駆けてはやくも登場です! 今回の主人公、阿倍野晴克くんですが、彼はいろいろな事情で大変困難な(主にお金の面で)毎日を過ごす高校生。その晴克くんが謎の美少女に襲撃され、美少女ふたりの属する組織の拠点に連れて行かれそうになるところから物語は始まります。襲撃者の目的、そして晴克くんが連れ去られた先はなんと……!? といった形で進んでいきます。

今作のキーワード、それは「普通」という言葉に尽きます。普通って、普通の言葉じゃん……と思いつつ、これほど危険な言葉はないなあと。だって一人一人よく見てみれば、みんなどこか変だし、どこか他人と違っている……。「世界にひとつだけの花」じゃないけど、どこをとっても普通の人なんていないんだなあと。作中でこの「普通」という言葉をリフレインする晴克くんの、微妙な心もちを思いつつ、普通の人なんてどこを捜してもいない……そう考えれば世の中もっと住みやすくなるかもしれません。

本作には、晴克くん含め「普通の人」は“いい意味で”存在していません。少し変わっていて、でも本質はどこも変わらない、そんな愛すべき人たちが織りなすのが、ぶっとんだ超常的バトルミリタリアクションだっていうところが本作の素敵なところだと思いました。それでもって「怪獣ハンバーグ」絶対美味しそう……。読み終えたらすっかり、ハンバーグを食べたい気分MAXになりました!!

「人間だから、できることがある!!」

『幼い女神はかく語りき』書影
著:暇奈椿 イラスト:夕薙

時は古代、空白の4世紀──いまだ神話が綴られる神秘と幻想の時代。この国のはじまりを築いた、はじまりの≪士≫の話。──邪馬台の侵略、異国の神々、異形のモノノケ、≪化外≫の民。真人と常夜。ただの人間だった少年と、無力な女神だった少女との出会いが、最新にして最古の誓約を結び奉る──!! アニメ化の大人気シリーズ『クロックワーク・プラネット』の暇奈椿が紡ぐ、過去と現在が交錯する新たなる創世ファンタジー!

イノヤスコメント

ただいまTVアニメ絶賛放送中『クロックワーク・プラネット』の著者のひとりである、暇奈椿先生のソロ作品、遂に登場しました!

インタビュー形式で始まる作品、そうかこんな切り口があるんだな……と早々に惹きつけられてしまいました。作品に登場する国は我々の「日本」に似ている国だし、メインヒロイン?は我々にとっておなじみの神様を思わせるし、主人公は言わずもがな……です。 ある意味和風ファンタジーとしてカテゴライズすることもできるのかな……と思いながら読んでいたのですが、和風という表現では作品が含む巨大な世界観を示すことができないなと途中から考えを改めました。登場キャラ、敵役の女神のルーツ、そんなところから感じるのは、「時間」という縦軸と拡大する舞台としての「世界」という横軸が交差する、ユニヴァースファンタジー……とでも表現すればいいのかなあ……!?

作中で無双を誇る主人公“マヒト”も、自身が語る通りあくまでも、どんなに強くても「人間」である……人間の真の強さとは、ということを常に念頭に置きながら、チートとしか言いようのない敵と渡り合う姿、どれだけだって強くなれる、それが人間だと周囲に説き続ける彼、まさに“真人”なのだと強く印象づけられました。

幼き(?)女神が語る底知れない歴史の重みをもっと味わってみたいと強く感じる当作。暇奈椿先生の繰り出す独特の語り口、見た目としての文字の配列、さらには言葉そのものが奏でる“音”……クセになりますね!

ライトノベルの新たな可能性が溢れている、そんな感想も抱いた作品です!!

シャレはオシャレの第一歩! 基本様式に差が出ます

『下僕ハーレムにチェックメイトです!』書影
著:赤福大和 イラスト:むつみまさと

異世界の女の子に憧れを抱くゲーマーのリクは、ある日、女神ナンナにより異世界アースガルムに召喚され、世界を救うよう頼まれた。それを成し遂げれば、異世界の女の子すべてがリクの下僕になる大魔術を発動してくれるらしい。そしてリクは伝説の7人目の英雄となり、魔王軍を追い詰めるが、あと一歩で魔王に逃げられてしまう。ショックで引きこもるリクだが、そこへ英雄の1人、エルフのフローラが現れ……!?

大ちゃんコメント

『共鳴無敵の落ちこぼれ』『僕の文芸部にビッチがいるなんてありえない。』に続くあの赤福大和3作(シリーズ)目、ついに登場! 拍手をっ!! もうね、「ライトノベルって何ですか?」と訊かれたときに「ちょっと忙しいんで、これ読んどいて。わかるから」なんつって本書を渡して池袋のゲーセンに遊びにいくのに最適です。

主人公である伝説の英雄は「特にやることもないので目を閉じると、あっという間に夢の中、二度寝は最高」「異世界で、もうやることはない。死んでいるので元の世界にも帰れない。絶望のあまり、ふて寝しようとした」 。しまいにゃあエルフのお姫様に「おっぱいを吸わせていただけませんでしょうか?」。とまあ、すがすがしいまでのクズ野郎。いやいや、ちゃんとバトルしますよ、英雄ですもの。ゲーマーですもの。

「ちょい待てええええ! 俺ズボン穿いてないんだがあああああ!!」 「きゃああああああああ──ッ!!」 「終わったあああああああッ!」

だははははははは。楽しそうでしょ。これだよ。王道のラノベだと思いますもんね。

それはそうとさあ、ズボン穿く穿かないで思い出しましたが、大ちゃん、大昔『チェックメイト』というファッション雑誌に在籍しておりました。ちなみに当コーナー『今月も校了してみた』のかーいい担当者の○○ちゃんは“おしゃれ番長”と呼ばれておりまして、命名者はモノマネ芸でおなじみ江戸家熊猫(仮名/当編集部でモテモテの一人勝ち)です。そういうの、セクハラじゃないの? いいんすかそれ、いいんすか?

「電波系なのにほっとけない女子がいます!!」

『俺の幼なじみは宇宙人に侵略されている』書影
著:橘九位 イラスト:こじまたけし

超オカルトマニアの二ノ宮桐子はオカルト研究部の部長だ。結城小次郎は桐子を監視しつつ、なんとか普通の女子高生になって欲しいと考えている。もう1人の部員、藤原之詠も幼少期の記憶をなくしている謎多き人物。その部室には怪しい蔵書にいわく付きオブジェに魔女(?)の薬草などが……。そんなホラー感満載のオカルト研究部に、ある女生徒が訪ねてくる。彼女は交際中である彼氏の浮気相手を呪いたいと桐子に相談するのだが?

イノヤスコメント

『ラブライブ!』1期2期、『新世紀エヴァンゲリオン』TV版……NHKの再放送アニメ枠ってほんとやりたい放題だなあ(いい意味です)と思っていたら始まった『涼宮ハルヒ』の再放送。そういえば長いこと見返してないなと思ってちょっとみたら、やはり楽しくなってしまったのです!!

これだけの名作について自分ごときがいまさら語ることはないのですが、ヒロイン・涼宮ハルヒのキャラ(性格、行動)について──自分はハルヒは可愛いと思っている、女子に怒られたい系のおじさんなのですが、人によってはあの強引さ(いやあれでも断られたらどうしよう的な恐れもひそかに抱いているコなんだと解釈してます)が苦手だっていう場合もあるだろうなあ……まあ趣味の問題なのですが、改めて観てそんな感想を抱きました。

さて今回の「俺の幼なじみは宇宙人に侵略されている」を読んでみました。メインヒロインの桐子さんは確かに電波系というか、「UFO墜落事件」と居合わせたせいで、世の不可解不思議なものを愛好している、そのうえ主人公の小次郎くん(視点人物)を巻き込んでいる……そんな困ったコなのですが、読み進めて行くうちにどうしても、桐子さんがほっとけないというか、助けてあげたいような気になってきました。

小次郎くんから見ると、彼の「罪悪感」から始まったことだけれど、「こんなめんどくさい女子、ほっとけばいい」と思うのが普通だと思うのですが、どうしても彼女が可哀想というか、いじらしいところを常に見せていくのです。まあそれが桐子さんの生存戦略だったらたいしたものだと思いますが。世にも珍しい、ほっとけない電波系ともいうべき、桐子さん……そのいじましさに接して、是非悶えてみてください。彼女が実は美人だ、という設定がどうでもよくなるくらいほっとけない、一人にしておけない「女の子」なのです……ある意味ハルヒの正反対なのかもしれないです。新しいテイストの電波系ヒロインを是非体感してください!

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