人類が宇宙進出を果たした、遥かなる未来──生体兵器「翔姫(しょうき)」へ改造された少女たちの交流と戦いを圧倒的描写力で描く、宇宙女子校戦記『さよならジュリエッタ』。第2巻の発売&ニコニコ静画「水曜日のシリウス」への進出を記念して、作者の道明宏明先生にお話をうかがいました!
百合×巨大化×SF!
──『さよならジュリエッタ』は、戦いと共に描かれる「女の子同士」の恋愛模様(百合)も見どころのひとつだと思います。第1話で、主人公・ジュリエッタは同性のコゼットから告白を受けますが……。
道明:作品を練るうちに、自然にコゼットがジュリエッタに告白したんです。「貴女達がそういうなら、じゃあ、いちゃいちゃしてください」と、キャラに引っ張られる形で、序盤のシナリオや設定を変えました。予定されたゴールは変わりませんが!
第1話、開幕数ページで、コゼットの告白を受けるジュリエッタ。告白への答えは──!?
──同性愛を扱うタイトルで、気になっている、参考にしている作品はありますか?
道明:男性同士の同性愛ものですが、田亀源五郎先生の『弟の夫』、よしながふみ先生の『きのう何食べた?』は愛読させていただいております。
──少女たちが巨大化して戦う「姫化(きか)」は衝撃的でした。5メートルという大きさには、何かこだわりがあったのでしょうか?
道明:大きさに強いこだわりがあった訳ではないんです。生身のまま宇宙空間で戦ってもらおうと決めたので、人体の大きさは変動させた方が楽しいと思い、現在の設定になりました。
第1話より、「姫化」するジュリエッタたち。巨大化も、本作の大きな特徴と言える。
──いわゆる「巨娘(巨女)」ものという分類もあるようですね。巨娘ものでも、気になっている作品があれば教えて下さい!
道明:『進撃の巨人』は好きですね。特に巨娘というジャンルで見ている訳ではないのですが。
──本作も、命をかけた戦いや過酷な運命など、『進撃の巨人』と通じるものがあるかもしれないですね。もちろん、ファンタジーとSFという違いはありますが。
道明:戦争で起こり得る、起こり得た事は描けるだけ描きたい……とは思っていますが、シナリオと編集部が許す限り描ければなあ、と。SF設定は、これでも抑えめに、控えめにを心がけています……。
「翔姫」は少女であり、兵器
──世界観に影響を与えたものは、やはり軍事系やSFものなのでしょうか?
道明:純粋な軍事系作品の影響は少ないと思います。今は流行っているらしいとは聞きますが、流行にはかなり疎いので……。
SFものだと、ロバート・A・ハインラインの『宇宙の戦士』や『月は無慈悲な夜の女王』、アン・マキャフリイの『パーンの竜騎士』、谷甲州の航空宇宙軍史シリーズ、ウォルター・ジョン・ウィリアムズの『必殺の冥路』、アリステア・マクリーンの『女王陛下のユリシーズ号』、あとは『機動戦士ガンダム』だと思います。その名作の残滓が、『ジュリエッタ』のどこら辺に残ってるんだ? と言われると困りますが(笑)。戦史で一番興味があるのは、ポエニ戦争と朝鮮戦争ですね。
──ジュリエッタたちが暮らす、居住区(母艦)も、印象的ですね。箱庭のようでもあり、どこか監獄のようでもあり。
道明:ジュリエッタたちの乗る翔姫母艦、通称「バナナボート」は、高いコストをかけられて人体改造された少女たち(翔姫)が唯一羽を休められる場所です。翔姫は、少女達の資質と心身の状態によって、戦力が大きく変動する不安定な兵器なんです。かかったコストを回収できるように、充分に戦力を発揮してもらう為、充分な設備と環境、この船の中だけの自由が与えられています。
贅沢な内装や設備であるほど、死刑執行前日の食事の様な、いやな感じがしますよね。
──やはり、重い意味が込められているんですね。そんな中で、道明先生の癒しになるような、描いていて楽しいキャラクターは誰でしょうか?
道明:もちろん主人公ジュリエッタとキャロルですが、メリルマローダーとラザニアが楽しいです! 特に、メリルマローダーですね。
上段・右がメリルマローダー。彼女の指揮する第3機動小隊は、ジュリエッタにとって大切な居場所になっていく。
──最後に、今後を楽しみにしている読者のみなさんへメッセージをお願いします!
道明:拙いデビュー作を読んで戴き、日々感謝しております。ありがとうございます。彼女達の運命を最後まで描けるように、ぜひ応援よろしくお願いします。皆様の反応が全てを決めます!
『さよならジュリエッタ』第2巻は、2016年12月9日(金)発売! 2巻の続きが、ニコニコ静画「水曜日のシリウス」でそのまま読めちゃいます!