無料マンガアプリ「マンガボックス」で創刊号からカルト的な人気を誇った『穴殺人』。連載完結を受けて、担当編集者K氏に直撃インタビュー。魅惑的なタイトルに込められた、意外に深かった意味に迫る。
■『穴殺人』ってどんな漫画?
部屋の壁にあった「穴」。それを覗いた時、人生が変わった。
穴の向こうでは、美女が人を殺していた。「生と死の価値は同じ、だから人は殺してもいい」。平然と淡々と人を殺し続ける美女・宮市さんに惹かれ、導かれ、惑わされ、自殺志願者だった主人公は、苦しみと喜びに満ちた「生」をたどりはじめる──。
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──『穴殺人』が完結しました。たった三文字なのに、不思議な魅力を持ったタイトルですよね。
K:完結したいま、振り返ってみると、作者である裸村先生の、様々な思いと狙いが込められていたタイトルだったなと感じています。特に「穴」という言葉がポイントでしたね。
──「穴」という言葉に何か特別な意味が?
K:物語は、主人公が穴を覗くことによって殺人を見てしまうところから始まりました。僕自身、物語の冒頭の展開をそのままタイトルにしただけだと思っていました。
ただ、作中では途中から、「穴」という言葉そのものが女体の象徴だっていう解釈が混ざりはじめるんですね。それが一番色濃く出ていたキャラが、榊という殺人鬼なんです。彼は宮市さんにすごく執着していて、宮市さんのことを「穴」と呼ぶ。いわゆる性的な意味での「穴」だと解釈していいと思うんですが、「女性=穴」という、差別的な意識が榊の根底にあった。そういう人間だからこそ、彼は根本からの悪役として、漫画内での役割を与えられていたんです。裸村先生にとって、榊の解釈は許すべきではないものだったからでしょう。
その後、詳しい展開については省きますが、主人公はヒロインをある意味で失います。彼がヒロインを失った後、「穴」という言葉にはまた別の意味が与えられました。主人公自身の表現を借りれば「心にぽっかりと穴が空いた」ということになります。穴とはすなわち空洞であり、「満たされない」という状態の象徴、ということですね。
──「穴」という言葉ひとつに、様々な意味が与えられていたんですね。
K:ここまでで、「穴」をめぐる解釈は三通り提出されました。順番に無理に要約すれば、ひとつは、「穴」は現状を変えるもの、超えるものの象徴として。
ふたつは、下衆な意味での「穴」。これは作中ではっきりと否定される考え方ですね。
みっつは、ダメージを表す言葉としての「穴」。ということになります。『穴殺人』という漫画は、「穴」という言葉についての解釈をめぐって、どんどん物語が展開していった、と言うこともできるかもしれません。
──そういう意識で読みなおすと、新たな発見がありそうですね!
K:最終回で「人生は穴のようなものだ」という意味のモノローグが出てきます。
穴がある。そうすると、人はついついその先を覗きたくなってしまう。死にたいと思っていても、どんなに無気力であったとしても、そういう気まぐれな衝動、好奇心みたいなものが、人間には根本的に備わっている。その本能に抗うことなく身をゆだねてみることで、人生は思いもかけない変化を迎えることになる。そういう変化が積み重なっていくことで、たぶん人生は豊かになっていく。この漫画で裸村先生が伝えたかったことのひとつには、「人生、たまには穴を覗いてみることも大事なんじゃない?」ということもあるのだと僕は思います。
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