険持ちよ先生と流石景先生は同じ戦場で戦ってきた仲間!? 前編は、共に過ごしたアシスタント時代から、好評連載中の『空のカイン』『ドメスティックな彼女』の裏話までズズズイっと語っていただきました!
2004年週刊少年サンデーマンガカレッジ7月期佳作を『風のカラム』で受賞
2010年より週刊少年サンデーにて『解体新書0』を連載
現在は少年マガジンエッジにて『空のカイン』を、月刊まんがライフMOMOにて『海咲ライラック』を掲載中
週刊少年マガジン第79回新人漫画賞にて『FIND NEW WAY!』で入選を受賞
2009年から週刊少年マガジンで「GE~グッドエンディング~」を連載
現在は週刊少年マガジンにて『ドメスティックな彼女』を連載中
──それでは、本日はよろしくお願いいたします。 まずは、お二人が出会ったきっかけをお聞きしてもよろしいですか?
流石景(以後、流石):初めて会ったのは、アシスタント先でした。
険持ちよ(以後、険持):二人とも、アシスタントをするのは初めてでしたね。
流石:ものすごく忙しい現場で、週6で働いていました。
険持:いや~、あの現場は過酷でしたね。
──初めてのプロの現場は体験してみていかがでしたか?
流石:プロの仕事の厳しさを教えてもらいました。特に絵に対するこだわりすごかったですね。自分が「これくらいでいいかな?」と思って描いたものでは先生は納得してくれなくて、良いモノをしっかりと仕上げないとOKをもらえなかったです。でも、そこでクオリティを大切にするという精神を教えてもらいました。
険持:はい、私もあの現場で鍛えられました。具体的な技術だと、特に集中線の抜きとかが鍛えられましたね。
──集中線の抜きとはなんでしょうか?
険持:集中線って線が集まる中心の方に行けば行くほど線が細くなっていくんですが、それを“抜き”と言います。本当に先生のこだわりがすごくて、最後の細くなっている部分なんか「これ印刷で出ないんじゃないか?」って思うくらいしっかりと描かないとダメでした。
流石:週刊の作家さんの現場だったのですが、週刊雑誌の印刷は荒いので、細くなっている部分は、よーく見ると線が繋がっていなくて点々になっている、くらいまで描かないとちゃんと印刷で出ないんですよね。
険持:普通に引いてしまうと、途中でぶつ切りになってしまって、ちゃんとした集中線として印刷されないんです。
「集中線」とは大胆かつ繊細な作業なのだ!
──お二人にはそれぞれ得意技とかあったんですか?
流石:私は“ツヤ”が得意でした。作中に全身ゴールドの金メッキみたいな敵が出てくる話があるのですが……。
険持:いましたね(笑)。
流石:その敵の金ピカを表現するためツヤッツヤ!にしなきゃいけなくて……、そのキャラのツヤに関しては私が全部請け負っていましたね。
険持:私は、背景の“月”を任されていました。一度見開きのページに大きく月が入っているシーンを描くことがありまして……、大きな月をひたすら点描で描いていました。
流石:やってた! あのときの険持さんの顔は悟りを開いているみたいだった(笑)。
険持:とにかく無心で、ひたすらに点を打っていましたからね(笑)。
──その後、お二人ともプロとしてデビューされて今度はアシスタントを雇う側になったわけですが、何か心境の変化とかはありましたか?
流石:アシスタントさんはこちらがお願いして入ってもらっているので、休みがなるべくずれたりしないようにスケジュールをしっかり組もう、など気をつかうことは増えた気がしますね。
険持:あと、食事と睡眠をしっかり取れるようにしなきゃ!と思いました。やっぱり連載ってとても体力を使うので……。ちゃんと続けていくためにもこの2つは本当に大切だなと思います。
流石:本当に、体が資本ですからね。あと険持さんの職場は、トイレで4コマを描いてましたよね?
──トイレで4コマ……? それはなんでしょうか?
険持:スタッフの子達と遊びでやっていたんです。トイレの扉に紙を貼っておいて、入った人がコマを順に埋めていくリレー形式で4コマを描いていました。
流石:面白いことをやっているな~と思っていました。
険持:私のブログにも公開しています。とにかく何か事件が起きたりするとすぐに4コマに描かれていました。男の子のスタッフでAくんという子がいたのですが、人気者でやたらと登場していましたね(笑)。
流石:いた! Aくん登場しがちでしたね。あと、よく誰かが最後に殺されてた(笑)。
険持:よく殺されてましたね(笑)。みんな息抜きというか、遊びでやっていたので。とんでもないことがよく4コマの中で起きていました。
流石:私は4コマに苦手意識があるので、険持さんの職場で働いていたらトイレに行きたくなくなっちゃいますね(笑)。
激レア! 険持先生の職場で繰り広げられるトイレ4コマをいただきました!
──流石さん4コマ苦手なんですか? マンガのおまけとかでも描かれているので得意なのかと……。
流石:いや~、苦手は克服しなきゃと思ってやっています。でも、最後のコマでちゃんと落とすのが難しくて。修行! という感じもあります(笑)。
険持:単行本のおまけ4コマとかって、簡単なように見えてすごく難しいですよね。ちゃんと短い中に収めた上で笑えるようにしなきゃいけないですから。
流石:普段のネーム以上に緊張しますね(笑)。
後半は、お二人の作品へのこだわりを語っていただきました。なかなか見られないプロの現場を公開しちゃいます!
『空のカイン』1巻(険持ちよ)マガジンエッジ、 『ドメスティックな彼女』10巻(流石景)は週刊少年マガジンにてどちらも好評連載中!!