小指の動かないピアニスト
わかってるって
何もないオレには──
ココがお似合いってことくらい
かわいそーな女の人生、
一回くらい思いっきり誰かを大切にしたいじゃないですか!
あなたが人生って最高だ! って思えた時に、
初めて家族になれると思うんだ。
私は
春海陣を世界で一番自由な子にします!
わがままの限界について
もうひとつ魅力を挙げるとすれば、語り口の巧みさだ。
陣は、これまで夢を持ったことがないし、自分の言葉を受け止めてくれる相手もいなかった。だから、自分の気持ちを言葉にすることができない。本作は、陣の抱えている言葉にできない気持ちを、簡単に言葉にしない。すごく遠回りをしながら、陣の気持ちを解きほどき、きっちり絵で見せてくれる。(思わず熱いものが目頭に溜まってしまった)こんなシーンがある。
来冬との生活が始まり、陣は“遠慮”をしながら少しずつ心を開き始める。そんな陣の“遠慮”を感じて、来冬は“遠慮の先回り”をする。それは、天才少女と言われるピアニストのコンサートチケット。ふたりで観に行ったコンサートで、陣は、ある夢を抱く。
陣は、進路指導の先生に“これまで持ったことも、語ったこともない自分の夢”について語る。
スゲーとこで弾いてる自分を考えたりする
そして、その日の帰り道。陣は、街頭ピアノで天才少女が弾いていたショパンを弾き始める。
あいつみたいにオレだって──
なぁ“オレだって”
…何?
陣が街頭ピアノを弾くシーン。それをこっそり同級生が隠し撮りしていて、ピアノコンクールの審査に出すところから、また物語は展開していく。この漫画は、そういう誠実でやさしい人たちに支えられ、小指が動かない陣がピアニストになっていく美しい話……には、なりそうにない。
第1巻の最後のページはこうだ。
心の奥底をじっと見つめる作品になりそうだ。








