かつて偉大な1人の魔術師がいた——
しかしアミラは……
すまん
そりゃちょっと無理だ
実は、アミラは魔力枯れを起こしていた。この世界はすべての民が魔力を持ち、魔力があることを前提に作られている。ゆえに、かつて「万能の魔術師」と言われたアミラは、今「世界一の役立たず」になっていたのだ。
もちろん魔力枯れを起こしたときはアミラも落ち込んだ。でも、それを乗り越えた彼女はこう語る。
時間にだけは愛されている
あと、エルフが主人公の漫画といえば『葬送のフリーレン』を思い浮かべるが、海外では「数千年にも及ぶ寿命が、倫理や価値観に与える影響」というものを“哲学的に語る勢”がいるという。人から見れば、エルフに与えられた時間は長すぎて“呪い”みたいなものだが、それを受け入れざるを得ないエルフはどんな境地にいるのだろう? その想像しえないことが、フリーレンのキャラクターの奥深さになっていることは間違いない。
しかし、本作のアミラはエルフでありながらこう言うのだ。
私は時間にだけは愛されているからね
そんなセカンドライフで、アミラは何をしたのか?
そして同時に、彼女は大切なものをもうひとつ手に入れた。
アミラは「世界一の役立たず」かもしれない。しかし、無限にある時間を使って、料理や狩りといった生きる術を磨き続ける事ができる。そして、風の音や鳥の声に耳を澄まし、この世界が今なお深遠さに満ちていることに気づき、ひとつひとつの発見と驚きに胸をときめかせることができるのだ。
さて、アミラはキサロ魔術大学へやってくる。
魔術師の必須アイテムといえば「杖」だ。しかし、彼女は魔力枯れを起こしたときに、手持ちの杖をすべて売っぱらっていた。魔術大学で講師をするのに、「形だけでも杖はあったほうがいい」というリリセナの言葉に従い、大学内にある職人養成の工房を訪れると、そこには一心不乱に腕を磨く学生たちがいた。それを見て、アミラの顔が輝き出す。
自分の杖は自分で作るよ
そして物語は、ここからvs.キサロ魔術大学の学生、vs.リリセナの腕比べが展開し、拳系エルフとしてのアミラのアクションがお披露目されるのだが……、それはぜひコミックで。特に心がモヤっている人には、オススメです。








