表紙を見たときから、なんて可愛い女の子なの!! これに黒猫と魔女ときたら、乙女チック全開の王道ファンタジーに違いない!!と思って読み始めたら、自分の笑い声に驚いてしまうほど何度も笑っていました。
『黒猫と魔女の教室』は、期待をはるかに超える面白さです!!
憧れの魔術師クロード様のような一等魔術師になるため、「ディアナ魔術校」入学を夢見るスピカ・ヴァルゴ(14歳)。
しかしスピカはいくら練習をしても魔法が使えず、お金もコネもないため途方に暮れていると、言葉を喋(しゃべ)り魔法が使える黒猫に出会います。
ところがこの猫、ただの黒猫ではなく、とんでもない“腹”黒猫なのです。
さっそく修行をするため王都にやって来ると……、
このマンガ、間違いなく面白い!! と確信した瞬間でした(笑)。
とにかく黒猫が可愛いくて、面白いったらありゃしない!! うるうるした瞳でか弱い猫を演じたかと思ったら、ずる賢い顔やムカツク顔まで変幻自在。
彼は、スピカに魔法を教える代わりに、「僕の呪いの解き方を調べてほしい」と言います。手にした者に英知を授ける魔導書「全能(プロビデンス)の書」に、その方法が書かれているはずだと。
1ヵ月後、王立図書館でついにその「全能の書」を見つけ出した2人は、「全能の書」からこう言われます。
何度練習をしてもまったく魔法が使えない落ちこぼれのスピカは、実は本人が気づいていないだけで、傷の回復が異様に早い“再生魔法”の持ち主だったのです。
「全能の書」から、呪いを解くにはこの魔力を黒猫に注入するキスが必要だと言われるのですが、そのキスがただのキスではなく……というところで、またまた大爆笑!! だってまさか、そんなことって!? という意表をついたキスなので(笑)。
人間に戻りたい黒猫と、魔法を教わりたいスピカとの利害が一致し、師弟関係を結ぶ2人。こうして魔法の特訓が始まります。
この先、どんな12系統の魔法が出てくるのか楽しみですが、乙女座のスピカが習得できるのは「植物操作魔法」。
半年かけてこの魔法が使えるようになったスピカは、ディアナ魔術校の命懸けの実技試験にも合格し、晴れて生徒となります。
なぜスピカが、そうまでしてディアナ魔術校に入りたいのかというと、邪教徒の襲撃事件で助けてくれた世界に10人しかいない一等魔術師クロード様のように、みんなを守れる魔術師になりたいから。
ところが世間の噂では、クロードは邪教徒が怖くて2年間も逃げ回っているという黒い噂の持ち主。
こうしてクロードが受け持つ12人の生徒にスピカも入ったのですが、ほかのメンバーもかなりクセが強い。
天秤座魔法(ライブラ・マジック)“テミスの目”が使えるナンパ野郎に、双子座魔法(ジェミニ・マジック)“ミラーオーグメント”を繰り出すクールな美少年、獅子座魔法(レオ・マジック)“ライオン・クイーン”の使い手は目立ちたがり屋。
そして牡牛座魔法(トーラス・マジック)では、どんな魔法が出てくるのかと期待していたら……。
こんなところでこんな笑いをもってくるなんて、ほかの魔法も気になるじゃないですかぁ。
さらにド素人の私ですら、この構図すごいなぁ、うまいなぁと唸るほど絵もステキ。
だから、何度読み直しても飽きないのだと思います。
『黒猫と魔女の教室』は、人がいない所で読むことをオススメします。
なぜなら、きっと声を出して笑ってしまうと思うので!!
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp