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2026.07.08

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ババアになった悪役令嬢とタフネス幼女の痛快ホームコメディ『麗しババアは孫が欲しい!』

最強美ババア&愛を知らずに育った幼女の溺愛コメディ爆誕

2000年代後半、「なろう系」を中心に盛り上がりを見せ始めたファンタジー作品群。2010年代前半には「異世界転生」が大爆発し、確固たる地位を築きました。その後、最強無双や追放、ざまぁ、ダンジョン配信など多種多様なジャンルが誕生。そんな百花繚乱なファンタジーの新作として登場した本作にて、最初に注目すべき点は、主人公であるベッラ・ディ・ノッテの経歴です。
転生悪役令嬢であり、いくつもの断罪を回避し、婚約も破棄……という悪役令嬢としての人生を全うしつつ手に入れた成功。しかし、そこに至るまでに時間がかかってしまった結果がこちら。
そう。タイトルにある「ババア」からもわかる通り、本作最大の特徴ともいえるのが、主人公が悪役令嬢ではなく、元・悪役令嬢、すなわち転生人生も終盤を迎えたおばあちゃんということ。ベッラは、養護院で暮らす哀れな幼女マリアと出会い、彼女を引き取り、孫として育てることになります。本作は、孫が欲しかった元・悪役令嬢と、恵まれない環境で育ち、愛を知らない幼女という祖母と孫(非血縁)が織り成す、溺愛ホームコメディなのです。

最強ババア、そのセリフからにじむ「親しみやすさ」と「たくましさ」

ホームコメディとはいえ、そこは元・悪役令嬢。ほっこりの中にもスパイスが効いています。前述の通り、彼女はこれまでに数々の修羅場をくぐり抜けてきたがゆえ、年老いたか弱き女性とは一線を画す、その強い個性が魅力のひとつ。「子供」を「ジャリ」と表現し、マリアのことを「アンタ」と呼ぶなど、今現在、優雅な暮らしをする中でも、過酷な人生を生き抜いてきたたくましさが感じられます。上品だけどお高くとまってはいない、気さくなところについつい惹かれてしまうのです。

また、マリアに洋服をプレゼントする、という話の流れの中ではこんなやり取りも。
弱い個体、というワードチョイスからも、まさにベッラが人生をサバイブしてきた勝者であることが伝わってきます。

厳しくも温かいベッラの溺愛っぷりも見どころ

もともと男の子の孫がいたものの、早くに家を出て行ってしまったため、注ぐべき愛情を持て余していたベッラ。そこに現れたマリアは、まさに格好の溺愛対象。ロクな教育も受けていないと知るや、悪役とはいえ令嬢の血が騒ぎ、マリアを立派な人間にすべく、指導にも力が入ります。
そこには厳しさだけではなく、確かな愛が存在していることが伝わりますね。また、孫ができた喜びに思わず絶叫してしまう様は、なんだか微笑ましくもあります。
孫に大興奮する可愛い一面もありつつ、美形ババアの整ったビジュでクールに挨拶する、そんなベッラの振り幅も魅力的です。

また、孫への愛情の注ぎ方に慣れていないせいか、溺愛の方向性に生じるズレも、本作の注目ポイントかもしれません。たとえばマリアが豪華な食事を前に、食べ方がわからず戸惑っている場面。
断罪を回避しまくり、婚約も破棄するような人生を歩んだベッラからすれば、幼い孫娘相手だろうと、食事の作法を教え込むことこそが正義であり、「アーン」などと甘やかす選択肢は、思い浮かびもしなかったのかもしれません。そんな様子をじれったい想いを抱きながら見守る執事とメイドのふたりも、めちゃくちゃいいキャラ。そして「庶民(ザコ)の胃におやさしい!」と幼女らしからぬ言動をするマリアがまた、良い味を出してるんです。

愛銃が火を噴く! ベッラの特殊能力は破壊力抜群

溺愛ババアと孫娘の仲睦まじいほっこりライフ、ではありますが、本作はファンタジーであり、魔法や能力といった要素も登場。ベッラが最強ババアたるゆえん、それは彼女が持つ特殊な能力にありました。

マリアがベッラの孫娘になったのは、とある事件がきっかけでした。養護院にいたマリアは、ある公爵に引き取られることになります。しかしその男、実はたちの悪いロリ好き。変態趣味の対象としてマリアを選んだのです。悪い予感がしていたベッラは、この取引を阻止すべく立ちはだかります。ところが相手の魔法に大苦戦。ピンチに陥ったそのとき、マリアが身を呈してベッラをかばい、公爵は激怒。マリアを袋叩きにしてしまいます。その瞬間、ベッラはブチギレ!
ベッラの能力とは、手持ちの道具を銃に変えてしまうというもの。文字通り、この能力を武器に、何十年という悪役令嬢人生を戦ってきたベッラの凄味が溢れ出る痛快なシーンです。

新しくできた孫が可愛くて仕方がないベッラと、たっぷりな愛情を注がれて戸惑いながらも、新しいおばあちゃんになついていくマリア。そしてそんなふたりを温かく見守る執事とメイドという、元・悪役令嬢の豪邸で繰り広げられるホームコメディ。強く、美しく、そして親しみやすいベッラと、癖の強い言葉遣いが気になるマリアの会話の数々も楽しいです。ベッラの愛銃が活躍するような修羅場が、この先どんなシチュエーションで訪れるのかも気になるところ。

転生したら悪役令嬢でした、ではなく、転生悪役令嬢を経て、おばあちゃんとなった主人公の今を描く、新機軸ファンタジーに注目です!

レビュアー

ほしのん

中央線沿線を愛する漫画・音楽・テレビ好きライター。主にロック系のライブレポートも執筆中。

X(旧twitter):@hoshino2009

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