どこからが演劇で、どこまでが現実なのか
金子玲介さんの小説『死んだ木村を上演』をコミカライズした本作は「まだそっち側にいる人」と「そうでない人」の境界をあいまいにする物語だ。演劇学専攻かつサークルも演劇研究会という、大学時代のほとんどを演劇に包まれていた若者たちが卒業から8年後「ある真実」のために集まる。
でも木村とともに合宿に参加していた同期4人は「八年前の真実」という脅迫文に吸い寄せられ再び集まる。つまり、木村の死には、何か秘密があるに違いないと感じている。
だから、脅迫状の送り主である“「木村の妹」を名乗る女”に言われるがまま、あのときを再現しようとする。
まだ演劇続けてんのすげえよ
“羽鳥”は気鋭の劇作家となり、“庭田”も演劇を続けている。“咲本”は演劇から遠ざかっていたが、ひょんなことから売れっ子の芸能人になっていた。
さて、脅迫状に誘われて温泉宿に集まった4人を待ち構えていたのは「木村の妹」を名乗る“璃佳”だ。璃佳は、自分が木村の死に疑いを持っていること、そして4人なら木村の自殺の事情を知っているのではと問い詰める。脅迫状を送ってきたのも璃佳なのだという。
4人は璃佳とともに「あの日」を再現することに。
4人は8年前の自分を演じながら、卒業公演の役も演じ、そこにいない木村も演じることになる。当時の木村のことを思い出しながら。
ちなみに、この再現に「演劇っぽいことができて楽しいな」と興奮しているのは、今はもう演劇から遠ざかっている井波だ。彼が木村を演じて、やがて感極まって涙をボロボロ流したら……?
冒頭の腫れ物のようだった関係や、彼らの抱える後ろめたさが稽古場でさらに爆発するのだろうか。してほしいな。観客としてはソレを期待してしまう。そういう期待と予感で全身がジリジリしてくるマンガだ。








