主人公・アキヅキユウタは、病身の妹のためにダンジョン攻略に励む探索者なのだが、やることなすこと全てうまくいかない「逆チート」の特性を持った「最弱の探索者」だった。このジャンルでよくある設定としては、逆チートな特性やスキルが実は……というギミックであることがほとんどだが、本作の逆チートは純然たるデバフ(弱体化)で、可哀想なほどに振り切れている。
多重構造の世界観と「強くてニューゲーム」
異世界転生やなろう系の作品でよくある話として、説明しきれていない設定が積み上がった結果、どこかで読者は置いていかれるという話がある。ところが本作はそうならない。一見わかりづらくなりそうな構造にもかかわらず、物語はすんなり頭に入ってくる。
「スーパード底辺ハウス」という固有名詞のセンス
おそらく正ヒロインであろうアクアを自宅に招いたユウタだが、その自宅は公園の植え込みに構えたワイルドな「巣」みたいな住居。それを見たアクアの感想が言うに事欠いて「スーパード底辺ハウス」。
「スーパード底辺ハウス」というワードのパワーが凄まじい。
こういう細部の積み重ねが、キャラクターへの愛着を育てる。脇役に対してきちんと感情移入できるのも、主人公だけでなく周囲の人物がちゃんと描かれているからだ。世界に引き込まれていく感覚がある。
サブタイトルにある王女やS級英雄は1巻の段階ではまだ登場しないが、とてもいいボーイミーツガール。続きが気になる1冊だ。








