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2026.04.19

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関西弁ハイスペ先輩との甘辛癒やされオフィスラブ『終電後は甘いキスして』

1ミリの恋愛感情もなかった人を、いつの間にか好きになっていた。
しかもそれが、毎日顔を合わせる職場の人だったら。
関係が壊れることを恐れて、好きという気持ちに気づかないふりをしてしまう。
そんな経験、ありませんか?

主人公の名執冴香(なとりさえか)は、広告代理店で働く、しっかり者の甘えベタ。頼まれると嫌とは言えない性格のせいで、ストレスもマックス。

そんな彼女の前に現れたのが、関西から転勤してきた3期上の千須和旺典(ちすわおうすけ)。
新人研修でさんざん迷惑をかけた相手で、やたらと“ちょっかい”をかけてきます。
「仕事の世話から、ゲロの世話までしたった仲やのに〜」
「俺のこと好きなんか、名執〜」

こんなセクハラすれすれの言動が許されるのは、千須和が気遣いのできる人だから。そして冴香も、負けずに言い返せる仲だから。

この“ああ言えばこう言う”の掛け合いが、とにかく楽しくて、ずっと見ていたくなります。

しかも千須和は、冴香がピンチのときにはいつもそばにいて、支えてくれるのです。こりゃもう“惚れてまうやろ”。

好意があるから優しくしてくれるのか、誰にでも優しいのか。
一体どっちなのかわからない“人たらし”なのですよ、千須和という男は。
こんな思わせぶりな態度を繰り返されれば、惹かれていくのは当たり前。

さすがに自覚はしているけれど、恋だと認めたくない冴香も、いじらしくて可愛いのです。

そんな心のせめぎ合いが、これでもかというぐらい描かれた第1巻。
第2巻は、一体どんな感じになるのだろうと楽しみにしていたら……冴香は、自分の気持ちが隠せなくなっていました。

特に、千須和の大学時代の女友達・かなみが現れてからというもの、彼女との関係が気になって仕方ない。
こんな冴香の気持ちを知っているのかいないのか、千須和は大学の男友達を彼氏候補として勧めてくるのです。
もう本当にタチが悪い。気が利くくせに、どうして恋愛だけこうなるのか。
この鈍感ヤロー!と毒づきたくなります。
千須和の心が本当に読めなくて、読者としては冴香と同じように迷ってしまうことでしょう。
ついに冴香は、一歩を踏み出します。
それはつまり、今までのふたりではなくなるということ。
これがオフィスラブの難しさですよね。

色々と振り回されっぱなしの冴香ですが、読者としても、千須和が憎めない存在として描かれているのは、さすがだなと思いました。
特に第1巻の巻末に収録されている「描き下ろし」や、ひとりで家にいるときの千須和を見ていると、人柄の良さが滲み出ているのです。

今までとは違う段階へと進んだふたりの恋の行方は、第3巻へと持ち越しになりました。

この作品は、タイトルに反して、甘いお話だけではありません(笑)。
むしろ、今までの関係を壊したくない葛藤や、踏み出したあとの気まずさなどが、とても丁寧に描かれています。
だからこそ、軽口の応酬に笑っていたはずなのに、いつの間にか冴香を応援したくなります。
そんなじれったい恋が好きな方、ゆっくりと恋の行方を見届けたい方には、特に刺さる作品だと思います。

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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