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2026.02.23

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大好きなあの人に会えるのは集中治療室だけ!! 愛と玉砕のSFラブコメ!『スーパートリアージ』

遠い未来、人類は宇宙獣と戦っていた——

突如、宇宙獣に襲われた人類は100億から10万まで人口を減らし、大地はほぼ海に沈んだ。そんな人類の希望の光は、パイロットの稲守東(アズマ)だった。類まれなる戦闘技術と、死を恐れぬ捨て身の戦いで次々と宇宙獣を撃破するアズマ。しかし、彼は戦うたびに手足がちぎれるほどの瀕死の重傷を負う。そんなアズマを救うのは、もうひとつの人類の希望の光、量子医科学者の才原日代。生命反応が極限まで下がったアズマに、彼女は神がかった治療を施す!
お伝えし忘れていましたが、本作『スーパートリアージ』は、SFラブコメです。  
才原さん「アズマさんこれで何回目ですか? 本当に死にますよ?」
アズマ「・・だって瀕死じゃないと・・才原さんに・・会えないじゃないですか!!」
    「この位やられないと・・・・ ・・・・スーパートリアージに運ばれないもん」
才原さん「何度もお話した通り・・・・ あなたとはお付き合いできません」
アズマが「死を恐れぬ捨て身の戦い」を繰り返すのは、ただ才原さんに会いたいがため!
しかし、速攻でフラレるアズマ!
失恋のショックでアズマの生体反応が0.001に!
ヤバい、彼が死ねば、人類の希望は闇に閉ざされてしまう!
生命反応が300に跳ね上がった!
パンチラは、遠い未来でも偉大であり続ける!

(どうでいいことだが)量子医学って、なに? いいかげんな肩書きだなぁ、と思って検索したら、ちゃんとそういう医療分野があったので、ちょっと反省した。

(いい意味で)見開き絵の変態作家

漫画家・加藤文孝。本作の作者は、絵を描き込むほどに脳内にドーパミン、ノルアドレナリン、βエンドルフィンが出てきてアゲアゲ気分が止まらなくなるタイプの作家だ(多分ね)。偏執的と言って差し支えないメカニックの描写は、メビウスやエンキ・ビラルといったバンド・デシネの漫画群や大友克洋、弐瓶勉などの流れを汲んでいることは間違いない。「侍+スチームパンクSF」という荒唐無稽な題材に挑んだ前作『空来船打払令』など、「コレや、コレや! コレが描きたいんやぁ(勝手に関西弁変換)」とばかりに、ゴツゴツとしたパイプやボルト、ボンベといった機械部品を精緻に描写。その欲求がコマに収まりきらず、見開きカットが頻出して、そのどれもが異様なテンション、かつメチャクチャカッコ良かった。作者がペンではなく、100号サイズのキャンバスと絵筆を手にしていたなら、日本を代表する現代美術の作家になっていたかもしれない(マジでそう思う)。

同時に加藤文孝は、「すっごくかわいいんだけど、すっごい変な女の子に振り回されたい」欲求が押さえきれない作家だ(多分ね)。ごく普通の男子高校生が、「神様をやめたい!」と願う女子高生姿の神様と旅をするデビュー作『三千年目の神対応』は、そんな厨二病的欲求に溢れていた。なんというか……、その……、

絵のスケールに対してキャラクターのスケールが小さい!
その作風と、嗜好がめちゃくちゃアンバランス!

『空来船打払令』と『三千年目の神対応』で作者が見せた、その両極端な資質。その一見相容れない資質に抗うことなく、「両方を一緒にやっちまおうぜ」と、このガチガチ未来SF設定のラブコメにたどり着いた。そうしたら、とんでもない化学反応が起きてしまった……というのが、この『スーパートリアージ』である(というのが私の勝手な見立てだ)。

たとえば第2話で、下半身を損傷したアズマが、才原さんのもとに運ばれてくる。治療開始!
アズマはしつこくデートに誘うのだが、才原さんから、人類を救う研究のため、恋愛の時間などないと剣もホロロに断られる。
アズマ「子孫にこの仕事を繋ぐことも考えないと」
    「恋愛も大事かと・・・・ ・・才原さんだって・・・・」
才原さん「母親と同じこと言わないで下さい!!」
    「まったくみんなして結婚はまだかとか・・うるさい・・・・」
アズマ「・・・・才原さんはガードが固すぎるんですよ・・・・」
なに? この甘噛みの痴話喧嘩!
そしてなんで見開き?
なんでここまで描き込まれているの?
なにより、見開きで鼻血ブーって……。

そう考えると、おかしみが止まらない。本作は基本的にこういうショートストーリーの連続で、そうしたエピソードを積み上げてストーリー漫画として展開していく。第1巻では宇宙獣の正体についてのヒントが描かれたりするのだが(それはそれとして)、もっと才原さんのツンデレをください!という気持ちでいっぱいである。

ちなみに私の頭の中では、才原さんは常に浜辺美波に自動変換されていることは、(どうでいいことだが)どうしてもお伝えしておきたい。

レビュアー

嶋津善之

関西出身、映画・漫画・小説から投資・不動産・テック系まで、なんでも対応するライター兼、編集者。座右の銘は「終わらない仕事はない」。

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