そんな小さな違和感を抱えながら読み進める時間が、こんなにも心地いい作品は久しぶりでした。
「これは、心に寄り添う物語」
そんな帯文を見て読み始めた『odd and kind』は2025年12月に第1巻が発売されました。
現代を舞台にした、やさしくて少し切ない“よくある感動譚”なのだろう──正直、最初はそう思っていたのです。
けれど、ページをめくるたびに胸の奥にほんの少しだけザラッとした感触が残る。不安でも不快でもないのに、なぜか引っかかる。その違和感が新鮮で、気づけば「次はどうなる?」と手が止まらなくなっていました。
「いい話」で終わらせない、静かな違和感
舞台も登場人物も異なりますが、共通しているのは、読み終えたあとにすぐ言葉にできない余韻が残ること。
例えば、巻頭に収録されている第1話「あさっての未来におかえり」は、小学校の同級生だった少女が、地球に代わる移住先を調査する宇宙飛行士に任命されたことから始まります。
SFというジャンルではありますが、本作が描いているのは「奇妙な出来事そのもの」ではなく、「それに直面した人の感情」。だからこそ、これはSFでありながら、強いヒューマンドラマでもあると感じました。
Xで話題となった作品が、単行本で深まる
SNS発のマンガというと、「その場の勢いで消費されるもの」という印象を持たれがちですが、『odd and kind』はそこに留まりません。
単行本版ではリメイクが施され、構成や演出が丁寧に磨き直されています。
Xで原作を読んだことがある人ほど、「ここが変わっている」「この間が加わったことで印象が違う」と、読み比べる楽しさを味わえるはずです。
そんな2段階の楽しみ方ができるのも、本作ならではだと思います。
「odd」で「kind」──タイトルが語るもの
一見すると相反するようなこの2つの言葉は、本作の読後感をとても正確に言い表しています。
どの物語にも、説明しきれない出来事や、少しズレた現象が起こります。けれどそれは、恐怖や不安を煽るためのSFではありません。人の感情や選択にそっと寄り添うための“ふしぎ”。
「なんだか忘れられない」──そんな感触だけが残ること自体が、この作品のやさしさなのだと思います。
ネタバレせずにすすめたい、体験型の一冊
『odd and kind』は、読み終えたあとに誰かと答え合わせをしたくなるような、そしてもう一度、最初のページに戻りたくなるような一冊。
この“ふしぎで、あたたかい”読後感を、ぜひ体験してみてください。








