令和の出版業界は、おもしろくなければ即座に淘汰されるほどシビアな時代です。
その戦場に“真正面から殴り込みにいく”ように現れた若き編集者と少女の物語――それが2025年10月23日に発売された『マンガラバー』です。読んだ瞬間、こんなにも胸を焦がされるとは思いませんでした。
柳井は編集者として3年目の“売れる若手”。やる気はあるものの、失敗しないためにいつの間にか“無難な対応”が染みつき、挑戦や冒険を避けてきたタイプです。
だって嫌な気分になるだろ
ここまでしてくれた作品がつまらないのは
マンガは、自分と誰かをそっとつなぐための大切な手段。柳井に読んでもらえたことでひとつ満たされ、生きることに対してもどこか距離を置いてしまっているようでした。
まんが喫茶で膨大な作品を前にした彼女の言葉は、とても印象的でした。
わたしもこの中のひとりになりたいって思ったんだよ
生き方も、価値観も、性格も違う2人。
けれど、どこか人生に冷めている部分は似ていて、お互いの存在がそっと火種となり、色のなかった日々に少しずつ熱が灯っていく――そんな過程が、本作の大きな魅力だと感じます。
これから2人は、商業マンガの世界という大きな渦に飛び込んでいくことになるでしょう。その他大勢ではなく、“自分たちの唯一無二の〈おもしろい〉”を読者に届けるために。
『マンガラバー』は、その名の通り マンガを愛するすべての人(=マンガラバー) に向けた物語。そして同時に、マンガ制作という過酷で美しい世界に挑むすべての人への、深いリスペクトに満ち溢れた作品だと感じます。
マンガを読むことが好きな人はもちろん、創作に向き合う人、誰かと一緒に夢を追う尊さを知っている人にこそ、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
2人がこれからどんな物語を紡ぎ、どんな未来を切り開いていくのか。続きが楽しみでなりません。








